第2話:悪役令嬢は王子を殴り倒す
ぱわーいずじゃすてぃす!
あたしは王子につかつかと近づくと、強く握りしめた拳で王子を正面からぶん殴った!
「ぶげらぁあっ!!」
優男は風船が潰れるような音を立て、血と前歯(たぶん5本ぐらい?)をまき散らして3メートルはぶっ飛んだ。
「武門の貴族令嬢を舐めるなっ!!」
こういう時のために、あたしは10本の指に大きめの特殊な指輪をつけている。
指輪同士に仕掛けがあって、拳を握ると指輪同士の金具が噛み合い一体のメリケンサックとなって拳の威力を倍増させると共にあたしの華奢な指を打撃から守る仕組みがあったりする。
さすが御婆様からいただいた先祖伝来の指輪。
ダイアモンド・サファイア・ルビー・エメラルドパンチの威力は半端ない。
ふう、スッキリした。
汚いものに触れた指輪を絹のハンカチで拭いていると(もちろん後で捨てる)殴り倒された王子が血塗れの口元をおさえてわめき散らした。
「こ、このぶれいものがっ・・・ふゅ・・・」
「あら、生きてたの。意外とタフね」
この動きにくい服とコルセット、踏み込みを阻害するハイヒールさえなければ一撃で先祖の元に送ってあげられたのに。
王と王国のためにも残念なこと。
「と・・・このふらちものを、どらえるのだっ・・・!!」
鼻血と前歯の抜けた間抜け男でも、王子は王子。
衛兵達は、あたしを捕らえるために動き出した。
「まあ、少しスッキリしたし。いいわよ、どこにでも連れて行って」
結局、あたしは牢に連れて行かれることになった。
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さすがに衛兵達をまとめて相手にするのは難しい。
勝てる場所と時期を待つのです。
貴族令嬢ですから!