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第13話:知略系悪役令嬢は王子に言ってやらなければ気が済まない

今回の選択肢はミーシャさんの投稿を元にしています

「地下牢へ行け」ですって?この貴族令嬢のあたしが?


冗談じゃない!!


その時、あたしを満たしていたのは身の内から吹き上げるような怒り。


あの!ボンクラ王子が!あたしとの婚約を破棄した上に、おまけに牢屋へ幽閉するですって!?


あたしは衛兵を振りきって会場へと戻る。


バンッ!!


少しばかり扉を力強く開きすぎたせいか会場中の視線がこちらに集まった。


ぎろりと会場を見渡して、アホ王子がこちらを見て固まっているのを確認する。


「殿下!!申し上げたきことがございます!」


一歩踏み出した自分から、我ながら腹の底から響く声がでた。「貴族令嬢たるもの一軍の指揮ぐらい務められなければ」との御婆様の教えで領地の軍事演習に同行した成果だ。


「な、なんだ・・・出て行ったのではなかったのか・・・」


返す王子の声は弱々しい。


まったく、こんななよなよした声で号令し人がついてくるものか。

指導者というのは、まず声が大きくなければならない。


「殿下!申し上げたきことがございます!」


もう一度、踏み出しつつ大声で繰り返してやった。


「な、なんだいったい・・・」


王子はゴニョゴニョと不平を鳴らしているが取り合わない。

いつもいつも取り巻きと後ろ暗い陰口ばかり叩いているから、いざというときの胆力も育たないし声も出せない。


いい感じに会場の注意が集まってきた。


女に問われて怒鳴り返すこともままならず、正々堂々と受け応えることもできない、この醜態。

この姿を周囲の貴族達はどう見るだろうか。


決まっている。


この王子は次代の王として相応しくないのでは?という、至極まっとうな疑念を引き起こすだろう。


嫌がらせのように繰り返し呼びかけるのは、多くの貴族にやり取りを聞かせる劇場効果を狙ってのことである。


まっすぐに立つ姿も堂々とした貴族令嬢と侍従の陰に隠れ陰口を叩く軟弱な王子の残酷なまでの対比!


婚約破棄、などとイキがって宣言してみたものの、このザマを見ればどちらに正義があるのか明らかではないか。


宮廷雀というのは無責任なもので、思わぬ成り行きを面白がった貴族達は小声であたしを称揚し、王子の姿勢を非難し始めた。


陰口を叩く人間は正面から問いただされることにも弱いが、陰口にも弱い。

他人の足下に熱心に穴を掘る者は、自分の足下が掘り崩されていることに気がつかないものだ。


「殿下!申し上げたきことが御座います!あたくしは殿下のごとき軟弱で卑怯な男性を夫に迎えることは末代までの恥、でございます!婚約はこちらから破棄、いたします!それでは!」


言いたいことを思い切り吐き出して、くるり、と身を翻して去る。


ぽかんと間の抜けた表情を晒す王子を背中に出て行くのは、とても気分が良かった。


→24話へ

話として収まりがいいので選択肢はありません

他の話の選択肢は引き続き書かれるまで募集しています。

選択肢の多数の応募が欲しいので多くの人の目に触れるようポイント協力をお願いします

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