第0話:悪役令嬢は運命の選択を迫られる
あなたには「悪役令嬢の運命を選ぶ力」が与えられています
「悪役令嬢! ……婚約を破棄する!」
誰かが遠くで叫んでいる。
何だかふわふわとして、現実感がない。
気がつけば、あたしは、どこともしれない大きな広間でひとりぼっちだった。
天井にはギラギラと多くの燭台がきらめくシャンデリア。
大きくて分厚くて、バカみたいに長いテーブルには、帆船や竜を象った鹿肉と野菜と異国の果物に彩られた、料理人の技巧と贅をこらした巨大な見せるためだけの料理。
おなかが苦しい。この服きつい。頭が重い。頭髪に手をやってみれば、針金や布でグルグル巻きにされて複雑な形状に編み上げられている。流行の髪型とはいえ、これではカツラが歩いているようなもの。
孔雀の羽の扇子で扇いでみたところで焼け石に水。暑い。
豪華なドレスも今はひたすらに動きにくい。
そして、数十人、下手をすると百人を超える似たような姿の着飾った中年の男女達。
コロンだろうか? 化粧品らしき強烈な臭さに吐き気がする。
ぼんやりと眺めていた静寂を破ったのは、男にしては甲高い癇に障る叫び声だった。
「聞いているのか!?アクア・クレイ・ジョーンズ!お前との婚約を破棄する!!」
あたしが婚約破棄……?
ぼんやりとしていた意識が現実に適応しようと覚醒し、急速に思考に明晰さが戻ってくる。
婚約破棄、というと結婚の約束をして、それを破るわけね。
すごいな、公衆の面前で女に恥をかかせる気まんまんだ。
この男……誰だったかしら? 急速に感情が冷めていくのを感じる。
よく知っていたはずの王子の顔も、何だか別人のように見える。
どうやら自分が恥をかかされている、らしいことは理解した。
そうか。あたしは、この男に虚仮にされてるんだ。
自分を遠巻きにしている着飾った貴族令嬢達の冷たい視線。
あの視線は知ってる。
養豚場から引き出される可哀相な子豚を見る目だ。
黙っていれば処刑される? あるいは追放で済む?
よくわからない。
わかっているのは、今すぐ行動を起こさないとならない、ということだけ。
何しろ、あたしは今や「悪役令嬢」らしいのだから。
さしあたり、どうすべきだろうか?
1.「手続きが違法です」理路整然と反撃するか? → 1話へ
2.「はぁ?」つかつかと足音高く歩み寄り優男を殴り倒すか? →2話へ
3.「ふふっ、冗談がお上手ですこと」ふんわりとした笑顔で糾弾をかわすのも良い → 3話へ
4.とっさに隠れる。まともに頭のおかしい男の相手などしていられない → 4話へ
5.その他。読者投稿の選択肢(下の説明をお読みください) → 5話へ
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