うさぎ
「うさぎ…」
彼女はうさぎの写真集を机に広げてまるでお母さんが赤ちゃんの寝顔を見るような目で見ていた。
しかし次の瞬間、後ろに僕がいることに気づいた彼女は
「きゃっ!びっくりした!あっ!ごめんなさい。」
「色々驚かせてごめんね。うさぎが好きなの?」
彼女は恥ずかしそうに頷いて、僕の方に向き直した。
「うさぎ…好きで家でも飼ってます。うさぎだけじゃなくて動物全般好きです。」
「そうなんだ…可愛いよね。一人暮らしをしてからあまり動物と触れ合う機会がないなぁ。
僕は実家に犬がいるんだ…ちょっと会いたくなったなぁ…」
その時お腹が空いていたのを思い出して、
「良かったらそろそろお昼食べに行かない?」
「はい。行きましょうか!」
僕はお昼を食べてから彼女を連れて行きたい場所が出来た。
地下鉄の駅近くのカフェで食後にアイスティーを飲んでいる時に、僕は彼女に切り出した。
「この後、少し行きたい所があるから付き合ってもらえますか?」
「もちろんです。午前中は私のワガママだったからお付き合いしますよ。」
そこは帰り道の途中だったので彼女を連れてお店の
自動ドアを入った。
「ここは…」