はい、あーんして。
「はい、あーんして。」
「…優花さん、みんな見てますって。」
「ええやん。こんな美人に大事にしてもらえる
優越感を存分に感じてや。」
僕らは鴨川の河川敷に腰を下ろし、美味しいと評判の唐揚げを買って食べることにした。
優花さんは僕が唐揚げが好きだと聞くと、店ごと
くださいと言って、店員さんを困らせた。
天然でちょっと困る時もあるけど、僕を本当に
大事にしようとしてくれている気持ちがすごく
嬉しかった。
僕らは色々なことを話しあった。
優花さんの家は京都では結構有名で、お父さんは
某企業の社長。お母さんは日本舞踊の家元。
東京にお姉ちゃんが一人いて、優花さんは地元で一人暮らしをしているらしい。
優花さんは僕に、
「これでお互いのことを分かったし、次はウチの
全部を身体で受け止めてほしいわ。」と言ってきた。
「僕には彼女がいます。」「内緒にしとこ。」
しまいには優花さんは僕の手を握って、
「なぁ〜ウチ翔ちゃんがホンマに好きやねん。
そんないけず言わんとまたデートしてーな。
絶対約束やで。ゆびきりげんまん。」
帰りに駅まで見送ると、
「翔ちゃん、約束やで〜。破ったら針千本飲ますしな〜。」
「…だから、みんな見てますって。」
スタジオの灯りもつけないで、
結真は何度も何度も曲をさらう。
「くそっ!なんで出ないんだよ。」




