迫力
ライブハウス…かと思ったがどうやら貸切のスタジオ…ライブスペースのようだ。
でも沢山お客さんが入って盛況のようだ。
僕らはチケットを渡すと、カウンターでドリンクを注文してしばらく飲みながらステージを見つめた。
数曲が終わったのかメンバー紹介になり、
〝リードギター YUMA〟
と紹介されたライダースジャケットにバンダナを
巻いた女性は…
春奈…さん?
あの時も物静かな佇まいに似合わない印象的な瞳だったが、力強いギターの音に負けないまるで炎を内包した瞳のステージの上の女性は間違いなく春奈さんである。
〝次の曲行きます!NITRO!〟
迫力のあるサウンドに僕は圧倒された。
何よりも彼女のしなやかな腕がネックを突き上げたかと思うと、コードを押さえる白く長い指に
目を奪われる。
…ライブは終了しても僕は動けなかった。
春奈さんのギターの音にしばし魅了されていた。
お客さんがスタジオからほとんど引き揚げていた。トモヤが「俺達も行こうぜ」と言うので
僕はドアを開けて階段を上がって行く。
階段の途中に踊り場というか中二階がある。
そこに一人の女の子が立っていた。
見覚えのある長い髪。僕は目を大きく見開いた。
結衣…!
更に僕はパニックに陥った…結衣が着ていたのは
…
高校の制服!?