長い口づけ
「お待たせ…出来たよ!」「美味しそう…いただきま〜す!」
結真が今日一日デートして欲しいと連絡して来た。明日は最後のライブだからゆっくりしたいのかなと思って、部屋に招いて自宅デートにした。
近くで一緒に買い物をして自宅でランチを振る舞う。結真が美味しそうに食べてくれる。
ランチの後は鴨川の河原に出てゆっくりする。
ギターを持ってきた結真が以前僕が作った歌詞に曲を付けて弾いてくれた。 僕はうっとりして聴き入る。
曲を弾き終わった結真は「ねぇ?」「ん…何?」「ギュー。」「はいはい!」
僕は結真を後ろから抱きしめる。結真はずっと
川面を見つめている。
「翔!」「ん?」「あたしのこと好き?」
「ん…好きだよ。」
僕が答えると結真は僕を力強く抱きしめて口づけた。長い長い口づけの後、僕の目を見て「帰るまで待っててね。」「勿論。」
突然結真はギターを持って走り出す。「じゃあ明日ね。バイバイ。」
部屋に帰ると結真の姿はなく、そのまま帰ったようだ。
でもさっきの口づけで結真の気持ちが痛いほど伝わってきた。じゃあ明日ね…か。
雪は明日、ライブ会場に行くのが怖かった。
またあの場所の魅力に取り憑かれるかもしれない。そんな時、ふと結真の言葉を思い出す…
「一緒にいて背中をポンと押してくれる。だからあたしは行くんだ…」