pain 〜幸せになるためのstory〜

狙われた結真

神社の石段で雪はさっき見た結真のギターを思いだす。「確かこんな感じ…」雪はフレーズをなぞってみた。綺麗な音が奏でられる。

少しだけ自分にも楽しい音が出せる。雪は嬉しくなった。楽しい気持ちで見る神社からの夜の景色は今まで見ていたそれとは全く違う景色だった。

そしてライブ当日、雪は「父さん行ってくるね。」綺麗にお化粧をして可愛い服を着ている雪を見て「おっ！デート楽しみだね。翔に可愛いがってもらいな！」と茶化した。

「もう！じゃあね！」雪はちょっとご機嫌斜めで家を出る。

スタジオの前には沢山の人が集まっていた。

雪が翔を見つける。「翔くん、すごい人だね。」

「ええ、人気ありますね。」

学校の後に結衣も制服で会場に現れた。

「翔くん！あっ、こ、こんにちは。えっと、ミヤサキ…さん？」雪はクスッと笑って「雪です。よろしくね。」「彼女…結衣はギターの結真の妹なんですよ。」「あっ！そうなんだ。今日はチケット貰っちゃって…ありがとう。」

僕等は会場に入って受け取ったドリンクを飲んで談笑した。

優花が前室に入ってきた。「なぁ、陽子さん、そろそろ準備せなアカンのに結真がまだ来てへんで。何かあったんやないやろか？」

「確かに遅いわね。電話した？」「勿論や、何しとんねん結真。」

その頃、結真は「ヤバイよ、遅刻だ！」烏丸通りから四条通りに入って人通りが多くなった歩道を結真は走り抜ける。

その時、車道の左側に寄せてハザードランプを出していた黒い高級車からサングラスの女性が降りてきた。

まるで結真を通せんぼうするように女性は結真に

声をかける。

「HI、Miss Yuma! 初めまして！」

「誰だい、あんたは？」