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第51話

「………え」


ライフォード様の愛の告白。

それに冷静さを保つことができず、呆然と辺りを見回す。


……私達が、周囲の貴族達の注目を集めているのに気づいたのは、その時だった。


「あれは、まさかライフォード様がサラリア嬢に愛の告白を……?」


「い、いや、そう決めつけるのは早計であるぞ!」


「だが、そうは言っても王子が手をつけようとしている女性に手を出すわけにはいくまい……」


貴族達、特に若い令息達は、私達を見て口惜しげな様子を浮かべている。


何故ライフォード様が愛の告白で留めたのか、私が理解したのは、その光景を見た瞬間だった。


「───っ!」


いくら私が《仮面の淑女》の代表だとしても、王族に婚約を迫られれば、簡単に跳ね除けることは出来ない。

なのに、ライフォード様はそれをすることはなかった。


──そう、全ては私に選択肢を残すために。


その私の考えを肯定するように、ライフォード様は私の耳元で囁く。


「答えを今求めるつもりはない……これなら、余計な邪魔が入ることは無いだろう」


私達を見て及び腰になった令息達。

それさえ、ライフォード様の計算内だと私は悟る。


……本当に、ライフォード様はどれだけ前からこの状況を用意してきたのだろうか。


そんなことを考えながら私は、熱を抑えることができなくなった顔を俯き隠す。

ライフォード様のペースに乗せられている自分を、恨めしく思いながら。


だが、ライフォード様の行動に、一つだけ間違いが存在することに私は気づいていた。

それも、致命的すぎるものが。


その間違いを指摘しようとして……羞恥によって、一度私は口を閉ざしてしまう。


「サラリア嬢、貴女の返事をいつまでも待っている」


ライフォード様は、そう言って私に背を向ける。


私の覚悟が決め手を伸ばしたのは、その時だった。


「………え?」


突然手を引かれたライフォード様は、その顔に疑問を貼り付けて振り返る。


私は、そのライフォード様の表情を無視して身体を寄せ──次の瞬間、私は強引にライフォード様の唇を奪った……

次回、本編解決予定です。

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