第43話
サラリア目線に戻ります。
マーリスの部屋を後にした私は、ある人物と会うために足を進めていた。
廊下の奥、何者かが走ってやってくるのに私が気づいたのはその時だった。
一瞬、私はそれが誰か分からず目を細める。
「っ!」
だが次の瞬間、その相手がアーステルト家当主様──私が会いたいと思っていた相手であることを理解した瞬間、目を見開くこととなった。
「サラリア嬢、この度のことアーステルト家の代表として謝罪させて頂きたい!」
そして、そう私が混乱している間に、当主様は私へと深々と頭を下げた。
それは、今回の件を考えれば当然の反応だろう。
「っ!」
しかし、それを理解しながらも頭を下げる当主様の姿に私が覚えたのは、隠しきれない罪悪感だった。
何故なら今回の件で、一番のとばっちりを受けることになったのが彼であることを、私は理解していたのだから。
私にとって、当主様は叔父のような存在だった。
幼少の頃から知っている存在で、だからこそ彼はマーリスを止めようとしていただろうことも理解出来ている。
「……いえ、謝罪するべきはこちらです」
それを理解できているからこそ、私は気づけばそう頭を下げていた。
最早、家族といってもいい存在だったからこそ、絶対に彼は許してくれない。
そう理解しながらも、私は謝罪の言葉を重ねる。
「……本当に、申し訳ありません。これで、アーステルト家はかなり辛い道を歩むことになるでしょう。全て、私の責任で」
そう言葉を重ねながらようやく私は気づいていた。
最初、屋敷の中に入った時に抱いた胸の痛み。
それは、当主様に対する罪悪感だったのだろうと。
「当家は、いえ、私は、これからアーステルト家に援助を申し出さて頂くつもりです。けれど、それもアーステルト家の領民を満足に食べさせられるほどでは……」
その罪悪感に唇を歪みながら、私はアーステルト家当主様に告げようと考えていた本題を口にする。
何とか、これでアーステルト家が没落することだけは無いようにと願い、どの顔をしてと怒鳴られることを覚悟でそう告げる。
「いえ、そんなものいりませんよ」
「………え?」
けれど、怒鳴られるのを覚悟していた私に帰ってきたのは、柔らかい慰めるような言葉だった。
その言葉が信じられず、呆然とする私に当主様は再度頭を下げて口を開いた。
「そして感謝の言葉を。サラリア嬢、私に新しい機会を与えてくれたこと、感謝いたします」
更新遅れてしまい申し訳ありません。
5時にも更新させて頂く予定です!




