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第25話

マーリス目線です。

「……どうすれば」


ライフォード様が去った翌日。

私は、自室の中そう頭を抱えていた。

その頭を支配するのは、昨日のライフォード様への恐怖。

今まで、私は優れている第二王子といっても自分ほどではないだろうと思い込んでいた。

所詮、いい暮らしで堕落しきった人間に違いないと。


……だが、実際はまるで違った。


ライフォード様が自分よりも何段も上手であることをようやく理解できた私に、ライフォード様に逆らおうという気力はもうなかった。

今更になって、サラリアが口を酸っぱくして自惚れるな、そう助言してきた理由が理解できる。

ライフォード様のような存在を、私に忠告するためだと。


「……くそ、サラリアめ!あいつがもっと詳しく私に言っておかないから!」


私は思わずそう言葉を漏らすが、最早全てが手遅れでしかない。

今から何とか、ライフォード様の怒りを受けないようにしなければならないのだ。


「だが……」


しかし、それを理解しながらもなお、私は決心することが出来なかった。

ライフォード様の存在は、私のなかで恐怖の象徴となっており、殺されかけたあの時を思い出すだけで体は震える。


「自らの口でサラリアへの冤罪を認めろなど……」


それでも躊躇してしまうほど、ライフォード様の求めることは酷なことだった。

もし私が冤罪を認めれば、その瞬間アーステルト家に対する貴族の目は非常に厳しいものとなるだろう。

そうなれば、私の出世が妨げられるどころか、アーステルト家は貴族として落ちぶれることになる。


……そんなことになれば、私は後世まで愚かな貴族として語り継がれることは間違いない。


それは私にとって、どうやっても避けたいことだった。

けれど、ライフォード様に睨まれた今、避ける方法など思い付かず、私は唇を噛み締める。


「マーリス様、お話が」


マルシェが部屋に足を踏み入れたのは、そのときだった……

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