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第13話

マーリス目線です

「サラリア嬢と私の間に男女の関係などない。彼女への冤罪、それをすぐに取り払って頂きたい」


それが私の部屋に来た、平民の男の第一声だった。

それは、通常の貴族であれば、不敬罪と捉えてもおかしくないような言葉。


だが、それを耳にして私が覚えたのは、自身の予想が当たったことに対する喜びだった。


どうやら、目の前の平民の男は私の想像していた通り、サラリアの浮気相手としたあの平民だったらしい。

この事態は、あの平民を利用できれば、さらにサラリアを貶められると考えている私にとって、望むべきものだった。

だからこそ、緩みそうになる頬を締め上げ、私は意図的に不機嫌そうに装い口を開いた。


「突然来て平民が何を言っている?自分が何をしたのか理解できていないのか?」


その私な脅しに、今更ながら自分の状況に気づいたように、男の肩が震える。

その様子に、私は自分の策がうまく行っていることを理解して内心、笑みを漏らす。


「たしかにこの国の貴族が平民を不敬罪で裁くにはある程度の基準がある。だが、それをすべての貴族が守っているとでも思っているのか?」


最早、私の言葉に返答さえしない男。

その姿を見て、私は脅しは十分であることを理解する。


男がこんな場所に乗り込んできたのは、恐らく青い正義感からだろう。

しかし、自分が命の危機にあると理解できた今、その正義感は冷めているだろう。

今頃、男の中ではどうしたら自分が助かるか、必死に考えているに違いない。


「だが、私も鬼ではない。一つの条件を飲めば、無事に返してやろう。それも五体満足で、だ」


そう想像し、男に嘲りの目を向けながら私は口を開く。

ここで目の前に飴をぶら下げれば、男は何でも言うことを聞くに違いない。

そう判断し、私は男の耳元で口を開いた。


「サラリアとの浮気を認めろ。全て、サラリアに強要されて逃げ切れなかった、と言うだけでいい。それだけで全ての貴族はお前に同情するさ。何故ならお前の証言で、サラリアは稀代の悪女となり、お前はその被害者となるのだから」


その私の言葉に、男の方が震える。

それを男が、迷っている証拠だと捉えた私は、もう一押しだと言葉を重ねる。


「もちろん、報酬は渡す。何なら、直ぐに半分を前金で渡そう」


その瞬間、男の肩の震えが止まり、男が覚悟を決めたと考え、私は思わず笑う。


「……誰が」


「ん?」


「誰が貴様のような下衆に成り下がるか」


「………は?」


……だからこそ、次の瞬間男が告げた言葉の意味を私は理解することができなかった。

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