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プロローグ2



時間にして一瞬だった。どういうふうに辿ったのかは知覚できない。

導かれるようにしてたどり着いた場所は四畳半程度の狭い部屋だった。


先程までいた場所と同じく色彩が無く無機質な空間だったが、比較するとやや薄暗い。また、そこには家具の類も含めて何も無く、思わず引き返してしまいそうになった。


そんな場所で一つだけ目を離せないものがあった。

棒立ち状態に戻った俺の目の前には、半透明のパネルが浮かんでいた。

大きさはA3程度だろうか。視線を動かせない今の状態でぎりぎり端まで認識できそうだ。


パネルの画面には文字が書かれており、日本語だと認識できる。

内容を確認してみると…



『 転生コンソール アルカディア方面 初期設定を行います 』

『 初期設定が完了しました 』

『 種族:人族 仮

  性別:男 仮

  条件:エラー… 修正を行います… 失敗しました。

登録された案件として確認がとれません。

特殊条件として新規登録されました。

他条件を参照し、転生先情報の設定の最適化を行います… 』


『 転生前に保有された能力を抽出し、転生後の能力及び基準値を設定します。

魔法情報該当なし… ポイントに換算します。


《ユニークスキル:負荷倍増》を確認。熟練値が最大です… 

異常が算出されました。特例措置として能力最適化を行います…

《ユニークスキル:負荷倍増》及び一部既存スキルが統合により、消失しました。

《固有スキル:負の鎖》 新規取得します…処理に時間を要す為、一時的に保護がかかります。


固有スキル解放に伴い、《ユニークスキル:負荷倍増》の消失によって能力値に上昇が発生しました。

転生前情報への加算として能力値を更新…失敗しました。

余剰分をポイントに還元します。

上記に伴い発現したスキルの再取得を実行… 完了しました。


転生条件として、前世記憶の保持に伴いポイントを消費します… 実行しました。

転生条件として、特典とされるスキルを取得します… 完了しました。


指定条件の設定が完了しました。

自由設定を行って下さい。


全設定が完了後、設定情報を基に転生先母体が決定されます 』


『 以下の各要項を選択の上、決定して下さい 』




( …なんだこれ )


俺はログを並べていく画面に唖然とする。

転生先?特殊条件?魔法?スキル? どういう事だ。負がなんたらって不吉過ぎないか?


予想外の状況に混乱するが、そうしている内に最後の文字が刻まれてすぐに画面が切り替わる。


俺は慌てて先程の内容を出来るだけ記憶しておく。精査は後に回すとして、新たに映し出された画面を確認する。


【種族】 【性別】 【特殊称号】 【能力値】 【適正・スキル】


この5つのタブがあり、これを自分で設定すればいいのだろうか。


当然手は動かせない為画面に触れてタッチ入力なんて出来ないのだが、試しに【種族】の項目を押そうと意識を働きかけると、それだけで新しくウィンドウが現れた。


(なになに… 人族がデフォルトに設定されている。その下に妖精族、魔族、獣人… 完全にファンタジーじゃねえか。まさに異世界だな)


もしかしなくてもこの流れは、ラノベでよくある異世界転生というものなのだろうか。


確かに死んだとなれば天国か地獄に行くか、輪廻転生するというのが定番だが…。


スキルだと?異世界云々はともかく、こんなゲームみたいな世界があり得るのだろうか。騙されているようにしか思えない。

ラノベのように神様に会ったとかではないし。そもそも最初いた場所が不気味だったし。


この設定を画面の要望通りに入力したとして、本当に自分が異世界に転生するのか。常識が通じない上に判断材料も少ない。

かといってこの場を放棄したとしても、さっきの場所に戻るだけだろう。


思考のモヤ相変わらず残っているし、むしろ悪化している。この混乱を飲み込むだけでも一杯一杯だ。


あまり悠長にしている時間は残されていない。俺は覚悟を決め、この謎の設定を進めることにした。


【種族】は表示されているものの横に三角マークがついており、試しに妖精族の項目の三角を意識すると、エルフ、ドワーフ… といくつかの種類に分かれていた。

他の種族について同様だったが、余裕もない為一旦は流し読みで済ませる。



俺はその中で、人族の仙人という項目が気になり、試しに選択するよう意識した。すると選択した横に、『-200P』と表示されていた。


(ん?なにか今、文字が動いたような…)


その時ちらっと視界の隅のほうを見てみると、『残:1000P』と小さく写っていた。

選択した項目から仙人を外し、人族に戻す。するとまた数値が変動し、『残:1200P』となっていた。


なるほど、このポイントが何なのか分からないが、これを使って各項目にポイントを割り振るのか。全部で1200Pの貯金を使ってうまく遣り繰りするというわけだ。


ますますゲームじみているが、分かりやすいのは確かだ。おそらく有力な候補ほど必要なポイントが多く、逆に役に立たない、もしくはデメリットが大きい候補だとポイントが低いという事だろう。


気を取り直して適当に選択をしてみると、【種族】に関しては大まかに魔族、妖精族、獣人族、人族の順にポイント消費が大きいようだ。

最も魔族なんてその中の種族によってピンキリだし、中にはポイント表示がプラスになっている場合もあるが。

試しに選択してみると残ポイントが逆に増えていた。


(ふむ、デフォルトよりも価値の低い選択肢を選べば、逆にポイントを増やせる、か。遣り繰りに困ったらそうやってリスクを取るのも有りか)


しかしこの種族の項目はものによってポイントの幅が大きい。各種族の特徴も書かれておらず、他の項目でどれくらいのポイント消費が必要か分からない為、人族に設定を戻して後に回すことにした。


次に【性別】の欄をみるが、これは男女に加え両性というものが表示されているだけだった。迷わず男のままウィンドウを消す。


【特殊称号】の項目に移る。そこには勇者、魔王、賢者、王族…等の名前が載っていた。


(これ、王族を選んだらどこかの国の王子として生まれるって事か。転生先に影響が出る内容だよなあ… うわ、ポイント高っ!!)


王族を選択すると『-300P』。仙人になるより高かった。

他の貴族も爵位別に選択肢があったが、一番低い男爵で-50Pだった。デフォルト設定は『無し』となっていたが、平民が表示されていなかったのでそれなのだろう。


また奴隷なんてものもあり、なんと『+100P』とお得になっていた。当然選ぶつもりはない。


この異世界がイメージ通り剣と魔法のトンデモ世界だとしたら、文明は中世レベルで魔物が湧いていたりするのだろうか。称号にあったように、勇者や魔王だっているかも知れない。

元の世界と比べて遥かに危険度が高いはずだ。


平民のままで設定しようと思ったが、もしかしたらこの世界の平民は貧しかったり、貴族に使い捨てにされる程立場が低い可能性がある。

ここは勿体無いがポイントを振って貴族にしておくか…。いややはりほかの項目を見てから決めよう。



項目を【能力値】に入れ替える。



LV 1


HP:10 △ ( - )

MP:0 △ ( - )

筋力:5 △ ( - )

魔力:0 △ ( - )

耐久:3 △ ( - )

敏捷:4 △ ( - )

器用:7 △ ( - )

運:10 △ 



ゲームのステータスのような項目がそこにはあった。


レベルが存在する事から、何らかの方法で経験値を取得してレベルを上げるとそれに応じて能力値が加算されるのだと思う。


またそれとは別に、その下には転生後の身体的資質を調整できる項目がある。

あくまで資質なので程度は分からないが、身長、体重、顔の造形に至るまで細かく望めるようだ。


前世の身体的特徴にコンプレックスでもあれば別なのだろうが、俺は特にこだわりもないので無視した。


改めてこの能力値というものを見る。

数字にバラツキがあるのはランダムだろうか。いや、MPと魔力がゼロになっている事から前世での身体能力を基準にされた可能性が高い。


△を選択すると各能力値の数字が上げ下げ出来る。1上げる毎に1P消費されるようだ。


一般的なステータスが分からない為どれくらい上げればいいのかわからないが、MPと魔力がゼロだとレベルをあげたとしても上昇しない可能性があり、魔法が使えないかも知れない。


そうなると不味いので、両方にポイントを振り、数値を5ずつあげた。


(そういえば、右側にある括弧はなんだろう?)


選択を意識してみるとこれも操作できるようだが、よく分からない。

スルーするか悩んでいると、脇に注釈が載っているのを見つけた。


※(−)… 潜在成長指数 7段階


これだ!と思った。

元の能力値は恐らくさほど重要ではない。この成長指数が高ければ高いほど最終的には大きく成長出来る筈だ。


試しに筋力値の成長指数を最高のまで上げてみると、ポイント消費は2,3,5,10,20,40 と増えていき、合計で80P消費された。


(…どうするか)


俺はここで悩んだ。そして、全ての成長指数を最大まであげる事にした。


これから転生する筈の世界は危険に満ち溢れていると思われる。強力な魔物、野党、魔族なんてものにも襲われるかも知れない。

既に死んだ身である為それほど生に執着はないが、むざむざ殺されるのも御免だ。


であれば、可能な限り自身が強くなる必要がある。


スキルを多くとる事にポイントを消費するのも一つの選択肢だ。しかし素の肉体が弱ければ、常に綱渡りになる気がする。


それよりはまずこの能力値とやらを上げ続ければ、下手なスキルがあるよりも万全な対処がしやすくなる。


しかしただ強くても成長しなければいつか限界がくる。格上の敵なんてのに襲われたときに諦めて死ぬという結末にはなりたくない。

俺は前世で自分の体に理不尽さを感じながらも、負けん気だけで生きてきたのだ。


次があるというなら、今度こそ苦しい思いをしてでも努力し、強くなる。

その為には、成長性こそが不可欠だ。


ポイントは莫大だったが、最大まで成長指数を上げた。

これで俺の転生後の体は、どこまでも成長する器となった筈だ。

予想が外れていたらその時はその時だ。賭けるしかない。


最後に運の数値を上げる。これはよくゲームにあるように、運だけはレベルによる変動がないと考えたからだ。


成長指数の欄も存在しないので、間違いないだろう。100になるまで上げておいた。

100を超えると一気にポイント消費が上がったので、そこで止めたのだ。


これで合計670P消費したことになる。後悔はしない。





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