嵐と僕
台風の時期。
窓を打つ雨や目や耳を驚かす雷、木の葉を吹き飛ばす風に何だか心踊ることがある。
冷たい雨が降りしきる中
部屋の窓から外見てた
風も強くなってきたね
だんだん景色が霞んでく
新聞を読むのは久しぶりかな
一面にあるのは政治の話
興味ないから投げ捨てた
一人で床に横になる
天井を見ると思い出すんだ
自分を閉じ込めてた檻を
この空間にいられなくなって
嵐に向かって走り出した
体に突き刺さる雨も
脳を威嚇する雷も
行く手を阻む大風も
懐かしい気がしたんだ
そのとき気づいたんだ
嵐を待っていたのだと
雨に濡れて重くなって
だんだん冷たくなってく
走るのをやめて見上げると
雲は僕より速かった
外にいる人なんてないけれど
僕はちょっぴり笑顔になれた
街路樹は喚いてるけど
ここにいてもいいと思うね
だんだん嵐は進んでいって
雲の間から覗く光が
眩しくて目を背けてしまった
嵐よまた戻ってきておくれ
体に突き刺さる雨も
脳を威嚇する雷も
行く手を阻む大風も
微笑ましい気がしたんだ
そのとき思い出したんだ
嵐を待っていたのだと
退屈な日々でもないけれど
大きな変化を求めている
現実逃避かもしれないけれど
全てが消えるのを待っている
体に突き刺さる雨も
脳を威嚇する雷も
行く手を阻む大風も
何か叫んでいる気がしたんだ
そうして僕は走り出すんだ
嵐の先のなだらかな平穏を探しに
退屈な日常に刺激を感じるために、非日常を求める。
その実僕らの日々の生活は同じ事は無い非日常なのかもしれない。