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アンチノミーを越えて  作者: 朽無鶸
4. 対話とは
37/48

ストリートミュージシャンと僕

時々ストリートミュージシャンを見る。

駅前、アーケード、公園。


村崎さんへ書き下ろし

深夜二時のアーケード

酔えない酒の帰り道

煙草咥えて火を着けた


ストリートミュージシャン

死んだものだと思ってた

ギターと声を張り上げて


下手くそな歌に耳を傾ける

聴きたいのは歌詞でも曲でも

その人の夢

知ってるぜ僕は

はした金にもならないと

でもだからこそ聞いていたいんだ


見えない未来に手を伸ばす

それは僕も君も同じはず

でも立ち上がれないのは僕の弱さか

忘れた声を探さなきゃ

枯れた言の葉拾わなきゃ

間違ったって構わないのさ

どうせ誰も見ていないから




二人で住んだワンルーム

流れた先の帰る場所

君の左手を重ねて


一文無しのミュージシャン

死んでやるかと思ってた

ギターの弦を張らぬまま


下手くそな歌はやめてしまうか

漏れ出すのは歌詞でも曲でもなくて

馬鹿が見た夢

知ってるぜ僕は

憂さ晴らしにもならないと

でもだからこそもういいんだよ


爾今の向こうに手を伸ばす

それは僕も君も同じはず

でも足が動かないのは僕の弱さか

詰まった声を絞らなきゃ

春待つ言の葉託さなきゃ

間違えたって構わないのさ

後にはみんな忘れてるから



上手くはいかぬ人生だから

僕は正直疲れたよ

比べてばかりの人生だから

僕はもう戦いたくないよ

もういいんだよ




下手くそな歌と貶されたって

歌いたいのは歌詞でも曲でもなくて

僕だけの夢

知ってるぜ僕は

雨宿りにもならないと

でもだからこそ聞いてほしいんだ


夢見た明日に手を伸ばす

それは僕も君もそして誰もが同じはず

でも手が届かないのは僕の弱さか

掠れた声を紡がなきゃ

散り舞う言の葉繋がなきゃ

間違えたって構わないのさ

隣に君が居てくれるなら

君の歌は君だけのものなのだ。

どうか歌い続けてほしいんだ。

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