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CODE12:抹殺

「はぁはぁはぁ、様子見すらさせてはくれないか。やはりこれまでの敵とは格が違うみたいだ」  

 俺は今、九条の攻撃から逃げて橋の先を越えた貨物置き場の隅っこに逃げ込んでいる。物流の差……いや戦闘の差がありすぎた。九条は武器を色々な形を瞬時に作製し、執拗に攻撃してきた。躊躇いも一切無く、どの武器においても強烈な攻撃を繰り出したために俺はあちこちに怪我を受けている。俺は一応、電撃やらレーザービームで対処したが奴にはその攻撃が見えているかのように回避する為、俺はなすすべもなく隅っこに避難することに決めた。

 だから今はこんな状況になっていることが不甲斐ないばかりだ。九条の奇声が鳴り響く。どうやら俺を挑発しているようだ……何か一手があれば良いのだが    

「出て来ないつもりか!どうせ隅っこに隠れてこそこそ機会を狙っているんだろ!その手には絶対に乗られねぇぞ!徹底的に潰してやる!」 

 次の瞬間、あちこちに発砲音が聞こえてきた。奴は本気だ……こうなると逃げれる可能性はほぼ0に近い。それにゼクターが増援に来る前に捕縛される恐れがある。もう、やるしかない。    

「銃なら遠距離で応戦する他ないな」 

 俺は隠れるのをやめて建物の影から九条に向かってレーザーを放つ作戦にした。こうすればやられる確率は少ないと踏んだからだ。ただ奴が本気になって貨物を殆ど切断したら逃げ場が一切無くなるのだが……   

「影から狙ってくるとは面白いな!ならこっちもお前の期待に答えてやる……よ!」       

 九条の放った弾丸は俺が隠れている貨物の隣の貨物に直撃し、見事に爆発した。炎が激しく広がり煙が空まで舞い上がっている……

「ありゃあ、一発撃っただけで爆発しちゃったか!こりゃあ、俺が本気で狙ったらお前さん吹っ飛ぶだろうなぁ。あははははっ!」

 まずいな。この貨物は爆発しやすい物が積み込まれていたのか。だとするとこの作戦はもう不可能に近い。仕方ない……こうなったら直接、九条を叩き込む。戦闘のセンスは明らかにあちらが上をいっているが技術力でならなんとかカバー出来るかもしれない。

 幸いにも、こちらには電撃・レーザー・槍・炎の拳があるんだ。絶対にチャンスは訪れる筈だ。俺は息を整えペンから槍に変え、九条に向かって突撃を掛けた。九条は咄嗟に盾を作製し防御体勢に移った為、槍の先の刃がうまく直撃出来なかった。     

「どうだい?俺の最強異能、クリーチャー・ウエポンは?想像以上の実力だよなぁぁぁ!」    

 九条の強烈な攻撃を喰らい俺は槍ごと遠く飛ばされ、背中の部分が地面に強打した。今までに無い痛みを伴った為、俺は動けなくなってしまった。だが九条は更に追い打ちを掛ける為、両手に作製したナイフを俺の両足に狙って刺してきた。 

「ぐっ……くそっ、両足にナイフが刺さったせいで上手く動けない」

 九条は笑いながら手のひらからどす黒い片手剣を構えてきた。これを避けなければ俺は確実に天に召されるだろう……まだ死にたく無いのに、ここで終わってしまうのか?「よく頑張ったな。まぁ、でも安心しな赤眼野郎。俺は悪魔でも雇い主に捕縛するよう指示されただけだから……ギリギリに痛めつけるだけだ。じゃあな」   

 剣を振り下ろす九条。終わったと思った次の瞬間、銃の閃光が飛んできたため九条は咄嗟に後ろに避けた。   

「随分と派手にやられているな。新人」 

 北神か、相変わらず嫌な台詞を言ってくるが今は感謝しないとな。

「遠距離に長けたライフルか。面倒な奴が来やがったな」

          

「コイツはマグナム・ライフルだ。上手く当てたら対象の身体の一部を穴にすることも出来るし、粉砕することも出来る。俺にとっては相棒と呼べる異能だ」  

 青色のライフルを構え、九条に狙いをすませる北神。俺は今だと思い、足を動かそうとするが両足にナイフが刺さっている為上手く動かすことが出来なかった。   

「俺がそっちに気を取られている内に逃げる作戦か。そうはさせ―!?」   

 銃の閃光がもう一発大きく鳴り響く。

「今のは威嚇射撃だ。そこからもう一度足を動かした瞬間、次はどうなるか……お前ならわかるよな?」              

「ちっ!」     

 九条が足を止めた瞬間、どこかから炎の閃光が飛んできた。どうにも俺はツイてるらしい    

「やられた!そういうことかよ!」  

 銃の閃光音が次々に鳴り響く。どうやら北神は重傷の俺から遠ざける為にあえて誘い込む作戦をしているようだ。そしてその間に東條を呼んで、俺を救助させる。見事な奴だな。

「如月!手当ての者を呼んだから少しだけ待ちなさい!」

 黙って頷き、待っているとどこか見覚えのあるふわふわの髪型の女性が駆けつけて来た。    

「如月先輩!なんでこんなに大怪我を出したんですか!?とにもかくにもすぐに治療するんでじっとしていて下さい!」 

 彼女の両手から白くて透明な円球が出現し、俺の弱っていた身体をみるみるうちに回復させた。その後、彼女は両足に刺さっている部分を白い円球で当てて、東條に抜かせた。先ほどまで痛みが完全に消え失せ、俺は何事も無かったかのように身体が全開になった。この子は何者なんだ?恐れいったぞ……      

「良かった。上手くいったみたいですね!じゃあ如月先輩、私達と一緒に急いで帰りましょう!」  

 無理動かすのはまだ禁物だが、北神を置いてノコノコと帰るわけにはいかない。俺は今すぐにでも合流したかったので、先ほど治療してくれた女の子に説得を試みたが全然納得してくれなかった。 

「絶対に駄目です!いくら私の治療とはいえ、これは悪魔で一時的な物……本来なら急いで病院に行かないと駄目です!というわけで行きましょう如月先輩!」         

「悪いが行かせてもらう。ありがとう……俺を治療してくれて。名前はまた機会があったら聞かせてもらう」   

 俺は必死に連れ戻そうとする女の子を真剣な眼差しで見つめ、異能をコピーしてから北神の元へと急いで走った。「やっぱり、行くのね」        

 東條にはお見通しか……      

「北神の所に行かせてもらう」             

「えぇ、わかっていたわ。北神刑事は恐らくあそこよ」

 俺は東條の後ろにつき、ただひたすらついていく。そして近づくにつれ音は次第に大きくなっていた。ふと橋の方を見ると人の姿が沢山みえた。どうやら騒ぎがかなり大きくなってしまったようだ……早く解決しないと野次馬がこちらの場所に来る危険性がある。なんとかしないとな。 「来ると思ったぜぇぇぇ!赤眼野郎!」 

 俺は上から奇襲を掛けてきた九条の攻撃に対し、瞬時に槍を作製し受け止めた。その間に東條は赤く燃え上がる拳で九条の顔面を狙おうとするが、気づかれたのかすらりと後ろに下がってしまった。

 だがその下がった先の遥か後方に北神がトリガーを引いたため、九条はあえなく腹に直撃して大量の出血をした。九条はかなり苦しそうな表情をし始めた。俺達はその間に九条を囲んで三人で包囲した。いくらなんでもこの状況では九条は逃げられないだろう……

「遊びは終わりだ。左手と右手をグーとパーで掴んで後ろの頭に回せ。逆らえばお前の命は無い」          

「くそっ!ここまでか……雇い主さん、期待に答えられなくてすまねぇ」    

 九条はこの絶望的な状態に諦めて北神の指示通りに行った。

「雇い主の件については、ゆっくりと取締室で聞かせて貰う……なんだ?これは!まさか!お前ら、目をつぶれ!」 

 激しい光の閃光に俺と東條は目を塞いでしまった。そして辺りの光が落ち着き、目を開けた瞬間九条の姿が映らなかった。どうやら何者かに連れ去られたようだ……      

「ちっ!逃げられたか!俺は辺り周辺を捜索する!お前らは無理をしない範囲で捜索しろ!」           

「了解!」     

 俺と東條は同時口を揃え、急いで九条を捜索することになった…

………が、一時間以上捜索しても見当たらなかった為捜索は打ち切りとなってしまった。結局、九条が俺を狙う目的等親玉も不明に終わってしまった。

※※※※     

「はぁ、くそが!腹抉れたせいで歩きづらいぜ!だが、助けてくれたことには礼を言わせて貰う」  

 男は九条を壁際によらせて楽な体勢にした。そして次の瞬間、男はポケットから拳銃とサプレッサーを取り出し、サプレッサーを拳銃に装着して九条の心臓に標準を定めた。九条はその行為に固まってしまった。   

「おい?正気かよ?そんなことして何になるだよ。一旦落ち着けよ……おい!聞いてんのか!」       


「使えないゴミはいらねえんだよ。だから俺がお前の代わりになってやるよ。ただし失敗作の男に使える異能を授けた愚かな研究所には罰を与えてやるけどな。じゃあ……あばよ」

 男は拳銃にトリガーを引こうとしていた。九条はまだ死にたく無かった為に命乞いをし始めた。 

「俺はまだ死にたくねぇぇんだよ……あれ?銃が……出ない!?」

               

「あばよ。ゴミ」 

 男は九条の心臓に一発だけ発砲して、その場を後にした。

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