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CODE11:夜間戦闘

 あれから進展が無く2日過ぎた。男の遺体は司法解剖の結果である程度は把握した。死因は拳銃による発砲……心臓の部分から弾丸が飲み込まれていたため摘出を行った所、摘出した弾丸からベレッタM92だということが判明した。この拳銃は主に米軍で採用されていて、命中精度が高いことから世界での信頼性が最も高いと言われている。おそらくネット上から取り寄せたのだろう。推測にしか過ぎないが……しかも相手はこの拳銃にサプレッサーを取り付けていた。わざわざ吊されている男を遠距離から撃ったのは俺達に姿を悟られないようにすることと見せしめの為だとは思うが……いずれにせよかなりの手練れである。俺はもしかするととんでもない敵を相手にしているのかもしれないな。だとすると余計に気になるな葉月の異能が……    「おい!如月!何、ボケッと黙り込んでいるんだ!サッサと行く競技を決めろ!」        

 植木にどやされ、俺は現実に一気に戻される。さて、どれにするかな。  

「…………おい、東條。やりたい競技が無くなっているんだが、何故後ろから早く言わなかった?」         

「あなたが真剣に何か考え事してたからさすがに呼べなかったわ。けど、長距離レースがあるからそこに入ればどうかしら?あなたの足が早いかどうかは知らないけど」   俺は黒板に1500mと書いてある白い文字に溜め息をついた。1500mはこの高校のトラックを見積もって約3周と半分といった所だろう。しかもこのレースを俺一人で走りきらなければならない。他に個人種目として100m走・200m走・400m走があるのだが、俺がうっかりと考え事してしまったので運動部の男子が1500mを避けて選んだみたいだ。これは俺に対する挑戦状と取って良いのか?そう取らせて貰うぞ……

「蓮、諦めて1500m走に立候補しろ!お前は元陸上部の端くれなんだから絶対に一位を取れるんだ!頼むよ!」 琢磨は唐突に立ち上がり俺に向かってこの1500m走に出場するよう懇願してきた。クラスの一点の視線に俺は心が折れ、仕方無く立候補することになった。全くこいつらは面倒事をことごとく無視する奴らだな……本当、嫌いになりそうだ。琢磨と東條を除いて。俺が1500m走を立候補し、無事に個人の競技決めが終了した。後は団体競技に綱引きと大縄跳びについて植木が説明をし始めた……どうやら運動会が始まる6月7日までの一週間、放課後で練習をするらしい。一年の時も思ったが運動会は本当に面倒臭いな。やってられん……     

「じゃあもう時間だから今日はここまで!明日から練習を開始するから皆体調をしっかりと整えてくれよ!じゃあ解散!」 

 俺は横のフックから鞄を取り、葉月を迎えに行くことにした。その際、東條も俺の側についてきたが気にすることなく一年の教室まで歩いた。最近はもうこの帰り方が主流となっている……馴れというのは怖いものだ。目的地である一年の教室に到着した。一年も帰る支度をしていたため、俺は教室に入り葉月を呼んだ。           「葉月、一緒に帰るぞ」                

「はい!今、行きます!」      

 葉月は俺を見た瞬間、急いで帰り支度を始めていた。その間、俺と東條は廊下の隅で待つことにしたがそんなにかかる事無く教室から出てきた。      

「お待たせしました!帰りましょう!如月さん、東條さん!」

 右に葉月、左に葉月と挟まれている俺は何となく居心地が悪かった。いや……もうここ最近は習慣化しているがどうにも馴れない。そんなこんなで俺達はいつも通り、葉月の自宅まで行くことになった。今日は人がそれ程いないがカラスの鳴き声が妙に多い気がした。そんな時に葉月は俺の肩をポンッと叩いた。

「如月さんは個人競技では何に出場するんですか?」            

「一応、1500mに出場する」           


「凄いですね!当日まで頑張って練習して下さいね!応援しています!」            


「あぁ、ありがとう。期待しといてくれ」        こりゃあ、手抜きは出来なそうだな。もう本気でやるしかないか……俺はやるせない気持ちが溢れてきたのでそれを誤魔化す為に葉月と東條に雑談をし始める。雑談をしながら歩いていると反対側から歩いている歩行者が声を掛けてきた。俺と東條は無意識に警戒してしまうが、その行動に笑われてしまった。何なんだコイツは……   

「あはは、ごめんね。まさか声を掛けるだけでこんなに警戒されるなんて思わなかったからさ。不快に思ったのなら謝るよ。ごめん」    

 男は姿勢正しく俺達に謝罪した。見た感じは俺と違ってかなり爽やかな感じだ。赤色の髪にショートカットの髪型をしていて革ズボンと茶色のコートを着込んでいる……  「別に謝らなくて良いぞ。それよりも俺達に聞きたいことがあるんだろ?」          


「あぁ、そういえばそうだった。村雨書店の場所わかるかな?あそこなら僕の探している本が見つかると思うから」 コイツも本が好きなのか?俺は心の中で不謹慎だなと思いながらも場所を伝えることにした。男は俺の言うことを一言一句メモに書き留め、しっかりと聞いていた。几帳面な奴だな……俺には真似できそうに無い。  

「ありがとう。これでバッチリ行けそうだ!あっ、お礼にこれをあげるよ」   

 男はコートのポケットから飴を取り出し、皆に渡した。俺も一応貰ったし礼は言っておくか。  

「ありがとう。一応お礼を言っておく。それと会うことは今後無いとは思うが俺の名前は如月蓮だ」 

 葉月も東條も俺の言葉に反応して自分の名前を言った。「僕の名前は神崎零。それじゃあ機会が会ったらまた会おう」 

 神崎はニコッと微笑み、商店街にある村雨書店へと向かっていった。俺達はその後ろ姿を見送った後再び歩き出した。

「あの人……なんか掴めないわね」  

 東條は神崎に対して何か考えているようだった。反対に葉月は神崎を高評価している。    

「東條さん考え過ぎですよ!第一、本好きに悪い人は居ません

!」       

 俺は苦笑いしながらも、葉月の家を目指した。本好きに悪い人は居ないか。まぁ、確かに神崎からは嫌な感じは殆どしなかったが……またしばらくして元の雑談に戻り、無事葉月を家に返した。その後は途中の道で東條と別れ、自宅に帰り早い内に晩飯と風呂を済ませた。何故なら俺は練習をしたかったからだ。何事も練習をしなければ本番の1500m走の優勝は夢のまた夢になってしまう。それに葉月には期待されているから手抜きも出来ない……やるしかないんだ。俺は動きやすい服装にして予め決めていた時間まで自室でストレッチや軽い体操をし始める。そしてアラームが鳴り俺は机の上に置いてある時計を止めた。時間は7時……まぁ、姉さんに事を話せば納得するだろ。俺は自室を出て一階のリビングに座っている姉さんに声を掛けた。「姉さん、30分だけ外を走ってくるから植木が帰ってきたら伝えてくれ」           


「こんな時間に歩くの!?危険すぎるわ!着替えるからちょっと待ってなさい!」         

 姉さんめ……こうなると逆らえないから黙って待つしかないな。俺は半ば諦めて白地のソファーに寝そべり黙って待つことにした。そして五分も満たない内に姉さんがリビングのドアを開けた。相変わらず、見た目はかなり美人だ。「さぁ、行くわよ!」     

 俺はあらかじめに植木にメールを書き残し、姉さんと一緒に玄関を出た。外は夕方と違ってかなり冷える寒さとなっていた。    

「周りを走るの?」

 うーん。周りだけ走ってもあんまりモチベーションが上がらないからちょっと遠くにでも行くか。

「姉さんも居るし、ちょっと遠い所まで歩こう。良いかな?」                


「勿論、良いわよ!レッツゴー!」  

 了承は取れたし、ちょっと遠い所まで走っていくことにした。ここから30分でいけるのは大宮市で眺めが結構良いと言われている大宮橋だ。とりあえずそこまで俺達は文句を垂れることなく黙って走っていく。俺は中学1年から3年まで陸上をしていた経験からある程度は基礎体力があるが、姉さんは15分そこらで吐息をしていた。まぁ、それでも頑張っている方なんだが……俺は疲れている姉さんを陰ながら見守り、ひたすらゴール地点へと向かう。人気のない道を真っ直ぐ進み、街灯だけを頼りにして突き進む。単調な作業だが、ゴール地点に到着すれば達成感は得られるんだ。それまでは走ってみせる……そんな思いで上り坂を上がって下り坂を下っていたら姉さんが何かに気づき俺を呼んだ。

「あそこに大の字になっている人がいるわ。もしかしたらということもあるから行ってくるわね」  

 大の字になっている人は……夜であまり見えないが男だろう。俺も何だか心配になったので速力を早めて倒れている男の方へと向かい、一応肩を叩いて生きているかどうか確認することにした

「おい、大丈夫か。生きているなら返事をしろ」    

 男は小さな声でぼそぼそと呟いていた。一応は生きているみたいだな……後は念の為に119番通報しとくか。もしかしたら身体に不調をきたしているかもしれないし。  「隙ありだ!!ヒャッハー!!」   

 ナイフが俺に向かってきたため、俺は咄嗟の判断で右足を使い跳ね返した。コイツ、俺に奇襲を掛けるねが狙いだったのか?舐めた真似をしてくれる……  

「姉さんは急いで家に帰れ。俺はコイツを仕留めて、手掛かりを手に入れる」          


「蓮置いていくなんて出来るわけないじゃない!」             

「良いから早く逃げろ。コイツは俺狙いだ……幸い姉さんだけなら逃げきれる」

 姉さんはそれでも嫌だと言い初める為、俺は何度も逃げるように指示するにも関わらず……言うことを聞いてくれない。ここまで頑固だと思わなかった。  

「よそ見する余裕はねぇぞ!」    

 男の持つ剣が降り注いできたため俺は姉さんを強く横に倒して、身代わりになった。少しばかり出血したが、なんとか立てるな。    

「蓮!」              


「姉さん、行け!早くしろ!」           


「わかった。無茶はしないでね!家に帰ったらすぐに助けを呼ぶから!」    

 姉さんは俺を後ろ目で見ながら急いで家の方へと走っていった。これで俺は自由に遠慮なく戦えるな……   

「来いよ。ゼクターが来るまでは相手をしてやる」            

「口だけは達者な奴だな。良いぜ良いぜ!相手をしてやる……ゼクターが来る前になぁぁぁ!」   

 男は両手からそれぞれの武器を作製し構えてきた。左手にはどす黒いライフル、右手には鋭く尖ったどす黒い片手剣……こいつは自分の思ったように武器を作り出す異能を持っているのか。これまでの敵と比べてかなり厄介な部類だ……慎重に戦う必要がある。        

「俺の名前は九条彰、お偉いさんの指示に従いお前を痛めつけて捕獲する。簡単な自己紹介終了!行くぜぇぇ!」 

 センテンスが来るまでは恐らく20分……それまでは持たせてみせる。俺はタイムリミットを隅に置き、相手を様子見することにした。

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