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秘密会議

とある屋敷のとある部屋にて。


様々な身分の淑女達がコソコソと囁き合う声が扉の奥から漏れ聞こえる……





「皆さま、お茶が入りました」


「あら、ありがとう」


「二人ともおおきにな〜」


「とりあえず、それが終わったら話しようよ。二人がいないと始まらないって」


女同士の話し合い。時折毒も飛び交い、ワイワイとかしましいが決して悪い雰囲気ではない。むしろ楽しそうだ。


全員に紅茶を配り終えたのを見届けると、給仕をしていた二人もまた、空いている椅子に座った。


それを見て、商人風の女が口を開く。


「さて……じゃあ本題といこか?」


そしてニヤリと笑うと彼女は付け加えた。


「アレスの戦の情報や」


皆の注目が一気に集まったことを見て、彼女は満足そうに頷くのであった。




「そんな……数えきれない魔物に囲まれたって……正規軍は何をやってるの??」


黒髪の、これでもかというほど胸が大きい女が悲鳴を上げる。


「どうやらデパイ川の氾濫で援軍どころじゃなくなったみたいやな」


商人女の言葉を聞き、向かいの金髪の女が苛立ちながら声を上げた。


「焦らさないでよ。あんたがこんなに落ち着いてるってことはアレスは無事なんでしょ?一体何が起きたっていうの?」


商人女はその急かす声に動じることもなく


「まぁまぁ、慌てなさんな」


とヒラヒラと手を振る。


「まぁ、正直言うとな、そこで何があったのかは分からんのや。分かっているのは、アレスがその魔獣を撃退し、グランツを落とした、という事」


商人女の言葉にその場の女達が安堵の声を漏らす。


「ただ……安心ばかりもしてられへんで?」


その声に再び女達は商人女に注目をした。


「よく考えてみい。アレスはグランツをはじめ、レドギア、トレブーユ、ブルターニュと4カ国もわずか1ヶ月とちょっとで落としたんやで?そんなのここ最近の出来事で聞いたことある?」


「確かに……凄いことだよね。それって。新しい英雄の誕生だね」


茶色の髪が印象的な小柄の女が多いに頷く。


「それって喜ばしいことではないんですか?アレス兄様には多大な名誉が贈られるということでは?」


それに呼応して隣にいた金髪の胸の大きい娘も口を開いた。


「確かに喜ばしい事かもしれへん。でもな、それって……新しい英雄に近づこうとする輩は仰山おるってことや」


商人女の声に一同は息を飲む。


「ってことは……多くの女性達が押し寄せることもあるということですか?」


「さらにアレス様の周りに女性が増えるということですよね?」


給仕をしていた二人……黒髪と亜麻色の女が心配そうに声を上げた。


「まぁ、確実に貴族や大商人は縁を繋ごうとするやろうな。他にも近づく女は沢山……モテモテやろーなー」


多少ヤケになった商人女の言葉に二人の給仕の女はさらに不安そうな声を上げる。


「そんな……皆さんは良くしてくれますけど私の身分では……」


「まぁアレスは身分とか気にする人じゃないけどね!」


商人女に変わって答えたのは金色の髪の女だった。


「どちらかといえば、今まで一緒に何をしたとか、そういう繋がりや人柄を大切にする人でしょ?あの人は」


「そして……まぁ仮に増えたとしても仲ようできるとは思うで。私らのバックにはセラ様もおるしなぁ」


商人女も相槌を打つ。


「本来ならうちらは恋敵や。それがこうやって歪み合わず、仲ようお茶を飲んでるのもあの人の力やからなぁ。敵わへんわ」


「ある日全員呼ばれた時はびっくりしたけどね……」


金髪の女のボヤキを聞いて黒髪爆乳の女がクスリと笑った。


「セラ様って不思議ですよね……あれよあれよという間に今のこの形が出来上がっていたんですもの」


「アレ兄もここがこんなに連携しているなんて思いもよらないだろうなぁ……」


茶髪女も笑う。


「でもな」


ほんわかとした雰囲気を再び商人女は真面目な口調で壊した。


「あんまり悠長な事も言ってられへんよ。もう皇族降嫁なんてことになったら……どないする?」


その言葉に一同の動きがピタリと止まる。


「ありえない話ではないで。アレスはそれだけの功績をあげてる……もし、その皇族が気の強い方だったら……セラ様だってどうにもできへんと思うけどな……」


「私達捨てられるということですの?」


黒髪爆乳の心配そうな声に、金髪女が声を上げた。


「まぁ捨てられるも何も……まだ何もないからなんとも言えないけど……心配してもしょうがないんじゃない?私達はアレスの事、信じましょ」


金髪女はそう言うと皆に向けて言葉を紡ぐ。


「昔からね……あいつは身内に対して甘すぎるってほど甘いのよ。全員が幸せになる方法を必ず考えてくれる。だから……今回も大丈夫だと思うわ。あいつを信じましょう」


その言葉に全ての女達は頷いた。


「とりあえず情報を常に手に入れられるようにせなあかんな。これからもちょくちょく、この『秘密会議』は行うから、そのつもりでいてや」




「んっ??」


アレスは馬上でブルッと震えた。


「アレス様、お風邪でもひかれましたか?」


シグルドの声に


「いや?そんなはずないんだけど、なんか今寒気が走ったんだよね……」


アレスもまた首をひねる。


「まぁいいや。さぁ、シグルド。帝都が見えてきたよ」


アレスの言葉にシグルドは前を向く。


見れば『勝利の門』が姿を見せはじめていた。


アレスが予想している以上の事が、この帝都で決定されるとは……まだ誰も知らない。


長らくお待たせいたしました。第3章突入です。


3章は毎日投稿ではなく、2日おきの投稿です。のんびりと、でも確実に投稿していきたい……そう考えておりますのでどうぞよろしくお願いします。


暖かいコメント、励みになります。どうもありがとうございます!!

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