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英雄の中の英雄の物語 〜アレスティア建国記〜  作者: 勘八
序章 〜アレス・シュバルツァーという男〜
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武天七剣

「いい!私が帰っても無茶だけはしないのよ!」


「わかってるって…」


シャロンやシータと空の旅を楽しんだ翌日。シャロンは伯爵領に帰ることとなった。

昨日の事を思うと………アレスはひきつった笑いを浮かべて見送りをしている。


中々の修羅場だった。そしてあの2人はなぜか自分を追い詰める時は抜群の連携をとる。なぜだ……

2人は楽しんでいたが、アレスの精神は限界まですり減らされたようだ。


「ちょっと!ちゃんと聞いてるの?そもそもアレスは…」


「あー、もう行こうよ。時間ももったいないし…」


しかしどうやらシャロンのご機嫌は直った様子だ。アレスは長々と講釈を始めたシャロンを見て、小さく笑った。


「ちょっと!何笑っているのよ!」


「いや、笑ってないよ……」


シャロンは伯爵領に戻った後、自領の騎士団の再編をするそうだ。なんでも女性の騎士団を作るとか。帝都の『薔薇騎士団』をモデルにしたいと語っていた。


シャロンは学院の騎士科を首席で卒業している。実力はあるので、どのような騎士団を作るのか、それはそれで楽しみだった。


「必ずアレスをびっくりさせるんだから!楽しみにしていなさいよ」


そう言ってシャロンは伯爵領に帰って行った。


シータにそっと耳打ちをして、その後ガッシリと握手をしていたのが気になったが……




シャロンを見送った後、アレスはシグルドとともにロマリアの街から少し離れた荒れ地に足を運んだ。ここでいつも剣の稽古をするのが日課になっている。


「じゃあ始めようか」


そういってアレスが出したのは訓練用の剣だ。


「手加減は無用でお願いします」


対するシグルドは訓練用の槍である。


「勿論。さすがにもう手加減はできないよ…」


そういってアレスは剣を構えた。シグルドも槍を構える。


その刹那、二人が激突する。


1合、2合、3合…槍と剣が合わさるたびにあたりに衝撃が響く。


何合、合わせたか…数えきれないほど打ち合ったとき、アレスの訓練用の剣は根元から折れた。


「うーん、ここまでかな?」


さすがに二人とも荒い息をしている。


「さすがシグルドだね。一度も当たる事はできなかったよ」


「それはこちらの台詞です。アレス様も、もう剣聖の力を出し切るだけの体力をお付けになったのではないですか?」


「いや、まだだ。これぐらいの力なら、昔オルディオスが倒した魔王ガルガインは倒せない…」


そう言って、アレスは胸からかけているペンダントに手をかけた。


「昨日夢の中でシンに怒られたよ。まだ未熟と。もっと強敵と戦え、と。そうでないとこの『武天七剣』の力を引き出せない、と。」


そういいながら悔しそうにつぶやく。


「確かに『聖剣エクスカリバー』を使えるようになったのはシグルドとの稽古の時だった。おそらく強敵が現れればその相手にあった剣を作りだせるのかもしれない。」


そう言うと彼はおもむろに『武天七剣』を取り出し、握りしめた。


「其は聖なる剣。悪を断ち、世に光を照らす勇者の剣也」


そして掌をあて、引き伸ばすと、白銀に輝く刀身が現れる。


「聖剣エクスカリバー!!」


エクスカリバーを取り出して、アレスはその剣を確かめる。身体中が軽くなった感覚を全身で感じながら、シグルドの方に体を向ける。


「『神剣オルディオス』の能力は『見えない斬撃』。そして『聖剣エクスカリバー』の能力は『身体強化』。まずはこの二本を使いこなせないといけないね」


シグルドもそれに答える。


「何事も焦らないことが大切です。必ず使いこなす日が来ることでしょう。それまでは、ただ只管、研鑽に励むのみです」


そういいながらシグルドは近くに立てかけてあった自らの槍を振り回した。と、同時に膨大なまでの魔力がシグルドの身体を駆け抜ける。


『龍槍ゲイボルク』


古代龍(エンシェントドラゴン)の力が宿っていると言われる古代武器。シグルドの愛槍である。


「さて、もう一番相手をしてもらえませんかな?まだまだ試してみたいことがあるのです」


「よし、お互い準備運動も終わった事だし……さぁ本気で始めようか?」


こうして二人の稽古はまだまだ続く…





武天七剣


剣聖オルディオスが身につけていた武具、それが「武天七剣』である。

主に彼が一番使用していた「神剣オルディオス」が有名であり、その名だけが歴史上では知られている。


本来は、柄のみ存在し、相手や状況によって様々に刀身が変化をする。その形状は七つあり、その事からオルディオスはこの武具を『武天七剣』と呼んでいた。


この武具をいつからアレス・シュバルツァーが持っていたのかは謎に包まれている。



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