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静かな怒り

感想ありがとうございます。後書きにて書かせていただきます。





さて、ついに東大陸編突入です。


辺境伯領と東国との境目に存在するハーラインの砦。


アレスが辺境伯に就任から東国諸国への防衛と情報収集の拠点として重きをなしている地である。

守りは固められ、兵は多数駐屯している。


そして今、この砦が誕生して以来、初めてと言えるほどの数の軍勢が集まっていた。そのため、砦の中はピリピリした緊張感のあるムードが漂っている。誰の目にも戦が目の前に迫ってきたのは明らかなのだ。


現在、彼らを指揮していたのは辺境伯領きっての勇将、第二軍団長シグルドと第三軍団長ダリウスである。彼らは一月(ひとつき)前よりこの地に駐屯し、他国を牽制しつついつ出陣してもいいように準備を重ねてきた。


そして……昨日より主人である辺境伯アレス・シュバルツァーが第四軍団長シュウを連れて砦に入城した事により……その緊張感はピークに達しようとしているのであった。








入城して早々に。


アレスはゼッカからの書簡に目を通し、明らかに憤怒の表情を見せた。


その姿を見ながら、古くから彼の事を知っているシグルドは驚きを隠せないでいる。どんな情報にも沈着冷静に、落ち着いて対処する……それが彼の主だからだ。

長年共にいるが、目の前の姿のように、あからさまに怒りを見せるなんて今まで見た事がない。


あまり動じる事のないダリウスや冷静を常とするシュウもまたその姿に目を見張った。


「ゼッカ……この報告書にある事は間違いないか?」


「はい」


「となると……東大陸はすでに地獄と化している、と言うことか」


その声に対してゼッカは何も答えず、俯いたままである。それがその事実を物語っていた。


アレスは思わず、手に持っていた書簡を投げ捨てる。それをシグルドは拾い上げ視線を向けた。ダリウスやシュウもまた横から目を向ける。


そして……


彼らもまたその内容に愕然とするのだ。


そこにはゼッカ達『龍の目』が調べた東大陸の現状が克明に書かれていた。


「略奪、陵辱、虐殺……なんでもありだね。これは」


アレスは彼らの様子を見て呟く。





ドルマディアは魔獣の軍隊である。

基本的に人族や亜人は餌であり、奴隷であり、子種を宿す子袋なのだ。


そこには言葉にするのも憚られる内容がぎっしりと書かれていたのだ。


もう片方の国、バイゼルトも同様だ。


かつてバイゼルトが誇った誇り高き騎士達は皆、粛清されており、残っているのは簒奪王ザッカードに従う欲に駆られた者たちのみ。

上が上なら兵士達も同様である。ただ強さのみを追いかけ、欲にまみれた者達。賊の集団となんら変わらない状況である。


そして……行いもまたドルマディアの魔獣達と同様……下手をすればそれ以上の悪行三昧を行なっている。


侵略された国はすでに国の体裁はしておらず、いずれも地獄のような有様だという。


今、東大陸はこの二国にまさに喰い尽くされようとされている状況であった。


「非道いな。これは」


豪胆なダリウスではあるが、そんな彼も顔をしかめて呻く。今回副将として詰めているエアハルトやロラン達も怒りの表情を見せている。シグルドもシュウも黙ったままだが、その顔は険しいものであった。


「ゼッカ……奴らはどこまできている?」


「ドルマディアの勢力はホルス王国の王都以外をほぼ制圧。現在イストレアの国境線まで魔獣の軍が現れ始めたとか。またバイゼルトも同様にトロント大公国をほぼ蹂躙し、こちらもイストレアの国境線近くまで軍を進めているとの事」


「……想像以上に行軍速度が速いね」


「どちらもイストレアの肥沃な大地を狙っているのでしょう。あの地を獲るのと獲らないのでは今後に大きな差が出ますから」


ゼッカの言葉にその場の者達が黙る。


「しかし……獲られた方は一方的に喰い潰されそこには何も残らない……か」


アレスはそう言うと、小さく呟いた。


「潰すか」


その一声を聞き、その場にいた全員がギョッとした顔を見せた。


アレスは基本的に戦を好まない。極力敵も味方も被害のない方法を好み、それを実行していく。参謀シオンは例え回り道であると分かっていても、そのための方法を考え献策する。


しかし、今回は。


彼ははっきりと言ったのだ。




『潰す』




と。


アレスは意を決意したように指示を出し始めた。


「明朝、全軍をレナート方面からイストレアに向かわせる。そしてイストレアを経由した後に第1軍および第4軍をドルマディアに。そして第2軍および第3軍をバイゼルトに当てる」


一息ついた後、アレスは言葉を続けた。


「ドルマディアに向かう軍の大将は僕とシュウ。バイゼルトに向かう大将はシグルドとダリウスだ。それぞれに指揮権を与えるので、二人で相談をしながら軍を進めること」


その話を聞き、シグルドは頷き、ダリウスは不敵に笑い、そしてシュウはアレスを真剣に見つめた。


「どんな事情があろうと、彼らはやってはいけない線を踏み込んだんだ。それ相応の報いがある事を世に知らしめよう。徹底的に……」


一呼吸置いた後、アレスは言った。





「殲滅せよ」





と。


この後、アレスを筆頭とするシュバルツァー辺境伯軍四軍団がイストレアに向かう。


そしてここから……世に名高い


『英雄皇の東征』、またの名を『東大陸殲滅戦争』


が始まるのである。





感想にて、待ってました!!と言ってくださる方がたくさん……本当にありがとうございました。感激してしまいました。


そう言ってくださる方の声に支えられて、この作品はあるなぁと思っております。


本当に感謝しております。とりあえずしばらくの間はストックがありますので、お付き合いいただければ幸いです。







さて、やっとこさ東大陸編がスタートしました。


はっきり言って……ドロドロです。


戦争がメインとなりますが……人と人との争いとなると、人間の本性のようなものがでてしまうかなぁ、と。


殺伐とした描写、暴力的な事、人間関係、男女関係に至るまで……奪い、利用し、喰らい尽くす……


そんなシーンが出てくる事と思います。


そうなるのアレスとて、聖人君子ではいられない訳で……為政者としての選択を迫られる事が度々起きる予定です。





本来はライトな戦記を目指しているのであまり書きたくはなかったんですけど。どうしても、戦争を主で描くとそうなってしまいました。


不快な思いをされる方は、ご容赦くださいませ。


長くなりました。


今後とも、この作品をどうぞよろしくお願いします。

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