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RAUHA  作者: KEI
平和を背負って Byラウハ=ヴェイトネン
29/30

旅立ちの前夜

<前回までのあらすじ>


ラウハの退職と神無のカムバック決定。



八月十四日。白く濁った曇り空でも暑い。とうとう皆とも明日でお別れしなくてはならない。ささやかではあるが第10班の皆がいかにも思いつきのお別れ会をしてくれた。

独りで部屋に戻ると部屋がいつも以上に荒れていた。また散らかしたのだろう。もう明日から自分はここに居ないというのに。

ふと鼻で笑うと習慣になってしまったのか片付けを始めてしまった。この荒れっぷりはきっとミランダが別れを受け入れられないという証拠のように思えた。あんなことを言ってはくれたが本心はわからない。信頼していても何十年友達付き合いしても、自分はなにも感じずにただ毎日を過ごしていたような気がする。

もう暗殺将校の自分はここにいない。仮に居たとしても軍人として過ごしたここに残して行く。


荷物も全てまとめて寝ようと思ったがトイレに行きたくなった。部屋にあるが気分的に公衆トイレに行きたかったから薄い月明かりとLEDのともる廊下を歩いていった。

ようをたし帰ろうとしたところカツン、カツンと誰かがこちらに歩いてくる足音がした。振り返るとそこには前よりも頬がやつれた神無がいた。神無はだるそうな口調で言った。

「ラウハ……大尉。貴女は本当にここを去るのですか?しかも明日に。それとなぜ私をここに連れ戻したんですか?教えてください。」

その台詞はロカルノに言われたのとほぼ同じだった。当然神無はいなかったからそれは知らない。暗い廊下にあったベンチに座るよう促し自分は理由を話す。

「宗教聖戦の後。あれから考えたんだ。自分がいる理由をそしてなぜ争いが絶えず平和が来ない暗黒の時代になったのかを。真の平和は人間が人間である限り来ない。でも、近づけることならいくらでも出来る。そう考えた時自分にはもう武器を手に取り人を殺すことに抵抗が出来てしまった。この考えを持ったまま軍人として生きていけば矛盾に悩まされる事になる。ならば潔く辞めるまでさ。」

神無は相づちをうちながら話を聞いてくれる。自分の気分が良くなってきたのか話を続ける。

「自分はこれまで上層部から仲間から必要とされ軍人として生きてきた。しかしこの世界は必要とされず苦しむ人もいる。必要とされず愛に飢え、自ら精神を壊していく。一度でも負ってしまえばもう戻せない。今はもういない父親が言ってた。人を大切にしなさい。そうしないとラウハが人から大切にされず独りでいることになる。父さんはそれは見たくないんだ。ってね。実際ミランダがいたとはいえ独りだった。大人になって初めて分かった気がする。」

すると物陰から突然人が現れた。ミランダだった。

「なんだ、そんなとこにいたの。少し探したじゃない。まぁ少し聴かせて貰ったから続けていいよ。」

そしてミランダは神無の隣に座った。

「狭い檻のなかよりもこの広い世界にいる方がよっぽど過酷だ。なんせほとんど考えの違う人間しかいない。だからこそ失った信頼は取り戻さなくてはならない。何を言われようと時間がかかろうと取り戻すまで必死になれ。そう願って神無を推薦したんだ。」

神無が初めて口を開いた。

「でも……出来る自信がありません。第一私を信頼する人なんて……」

「ここにいるよ!」

ミランダが大声で言った。

「私達第10班の皆がいる。何かあれば言えばいい。仲間じゃない!」

ミランダの言葉に神無は納得したようだ。顔が緩む。

「良いんですか……?」

「あぁ。」

神無の心配はミランダが何とかしてくれそうだ。

自分は窓の外を見た。二人もつられて窓の外を見る。

そこには美しい星空が各々輝いていた。


閲覧ありがとうございます。


気付けば二月ももう終わりですね。二月の終わりはこの「RAUHA」の終わりでもあります。そう次回をもって「RAUHA」はおしまいです。


長い間読んでくださった皆さん。テスト勉強中でも読んでるのかもしれない私の友達、後一話ですのでもう少しお付きあいください。


なぜラウハが部屋のトイレ使うより公衆トイレ使おうとしたか実は作者も謎です。

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