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RAUHA  作者: KEI
平和を背負って Byラウハ=ヴェイトネン
26/30

下された審判

<前回までのあらすじ>


ラウハの名前の意味が判明した。

朝から辛い。まだじりじりと暑さが体力を無駄に奪う八月なのに。こんなに辛い朝は記録的寒波が襲った去年の二月以来だ。

洗面所で顔を洗い鏡をふと見る。やはり自分の目は少し腫れていた。ミランダは何食わぬ顔で自分へ挨拶をすると、部屋を出ていった。

食事も喉を通らなかった。パンを三口ほど食べただけで食欲をなくした。様子がおかしいと思ったペトラから医務室へ来るように言われたのでそのままペトラの後をついていった。


「私の専門じゃないからよくはわからないんですけどラウハ大尉精神病かかってますよ。多分。しかも重症。」

ペトラの口から「精神病」という言葉が出てしまった。

このインターナショナルフォースでは身体と精神が健康でない者は従軍の資格がない。身体的な病なら完治するまであまり時間がかからなければ残る資格はある。しかし精神病は治っても再発の恐れがある。精神病にかかった軍人は大抵が辞めている。

「ラウハ大尉やはり宗教聖戦でのアレン=ライの死に相当ショック受けてるでしょ?」

「そうかもしれない。」というように自分はコクりと頷く。

「もう大尉にはこのまま役立たずなままここに残るか長年の経験やプライドを捨て辞めるかのどちらかしかありませんよ。」

ペトラはこの自分に残された選択肢を提示した。


もう決心した。自分は…………


「ペトラ、至急班員を招集してくれ。話したいことがある。」

もう迷わない。自分はペトラに指示すると鼻で笑われたが電話をかけてくれた。


三十分後、いつもの会議室にいつもの面子が集まる。

もちろん皆集められた理由は分かってない。しばらくして自分は閉じていた口を開く。


「皆忙しい中集まってくれてありがとう。実は大事な話がある。」

一呼吸おいて言う。

「自分、ラウハ=ヴェイトネンは今週日曜日をもってこのインターナショナルフォースを去ることにした。」


一同は動揺する。ペトラはやはり辞める事を選択したかと涼しい顔をする。唯一無二の親友ミランダはなんも言わないでいた。

「待てよ!どうすんだよ?次期の班長は誰がやんだよ?なぁラウハ大尉、どうして急に辞めるとか言うのさ。答えてくれよ。」

ロカルノが必死な態度をする。礼二も金さんも続く。

「私とラウハ大尉はピンチに取る選択肢が違うだろうとは十分承知してました。やはりこちらをとりましたか。私は止めはしませんよ?ですが日曜日は早いかと、今日木曜日ですよ?そんなに早く手続きなんて出来ませんからね。」

「私はロカルノ同様反対です。いくらこのような状況に陥ってしまったとはいえ貴女は大事な戦力なんです。残ってください。ラウハ大尉。」


ペトラが落ち着かない彼らに説明する。

「あくまで私の推測だけどラウハ大尉は精神病を患ったわ。しかも重症。あなた達も分かるでしょう?精神病になった人間はこの軍から必要とされない。例え将校でも、元帥でも。」

「だからって…………」

ロカルノが言葉をつまらせた。反論しようにも言葉が出ないみたいだ。自分はきちんと理由をいうべきだと考え、話を続ける。

「確かに、ここに残るという選択肢はある。だがそれでも自分はここを去りたい理由があるんだ。自分は十年以上も軍人として育てられた。あの宗教聖戦でアレンの死も一因ではあるが、J国へ行ったとき気づいたんだ。身分に囚われず人として人を助けることを当たり前としていた彼らを。軍人以外は下がれと言っても聞かなかった。それでも彼らは手伝うんだということを聞かなかった。自分もあんな人になりたい。軍人ラウハ=ヴェイトネンとしてではなくラウハ=ヴェイトネンという一人の人間としてこの世界を希望へ平和へ導きたいんだ。」


誰もがその意志に納得したかに思えた。だがミランダはいまだに一言も発しないで腕を組んで窓の外を見始めた。


「ラウハ大尉のおっしゃる事は分かりました。ですがラウハ大尉は班長であり我々第10班員の監視下にあります。辞めたいとおっしゃる以上今、我々は次期班長を誰にするか話し合うべきだと思います。」

そうだな。ナイスフォローだ。礼二。皆は勝手に議論を始めた。

「ではここはミランダ少尉にお任せしましょう。階級順に。」

「いや、礼二のほうがしっかりしてるから礼二がいいと思うんだけど……」

候補は礼二とミランダに絞られた。だが自分は別の人間を推薦したかった。

「自分は神無を推薦する。裁判中だがここで一生懸命やって信頼を取り戻すことが何より一番の償いになると思う。皆はどう思う。」

するとロカルノが賛成と手を挙げた。すると便乗するかのように半数が手を挙げる。

「出来ればそうしましょう。」

と礼二が言う。

「金さん、早速手続きをしてくれます?自分もやりますので。」

そうして会議は終わった。ただひとりミランダの本音が分からないまま。

閲覧ありがとうございます。


礼二編と比べるとラウハのほうが大したことではないのに、捉え方が違いますね。

仲間に支えられ、一歩を踏み出す二人でも軍人として残るか残らぬかに別れます。


こんな時にミランダは何も言わないのかは謎です。

次回はそのミランダがラウハに対して部屋で今回の話を話し合います。ミランダはどうラウハの考えに向き合い、助言できるか。

次回、お会いしましょう。

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