変わらぬ自分
<前回までのあらすじ>
少しラウハの様子がおかしい。
翌朝、いつもの時間に起きて集合する。そして班員と皆で食事をとり各々仕事に追われる変わらない一日に戻ったように思えたがそうとはいかなかった。
この日の訓練は射撃の訓練で銃をミランダから渡されたときだった。銃に触れた手が震えて手から銃が落ちた。
この事態にはミランダをはじめ後ろに並んでいた知らない人達までもが驚いていた。自分の前にいた見知らぬ隊員が銃を拾い銃の並んだ机に置いた。ロカルノの指示で訓練は見学になった。
たった一日限りのことでは無かった。二週間過ぎても自分は銃をまともに持てなくなっていた。
何故だ…………
ベッドの上で毎日考えるようになった。ふと自幼い頃の自分の記憶が脳にうつった。
八歳の頃か、両親と観光にS国へ行ったときだ。美しい教会や美味しい料理に満足そうな目で両親を見ていた時だっただろうか。
突如完成したばかりでも由緒正しい教会に飛行機が突っ込んだ。激しい爆発音と風が町を襲い銃撃戦も始まった。
アゴ髭のすごい男の兵士達が逃げ惑う人々を撃っていく。瞬く間に死体の山と血の海が広がっていた。自分達は必死に逃げたがとうとう見つかってしまい自分達に銃口が向けられた。怯える自分を両親が必死に守ろうとする。彼らは何の躊躇いも無く両親を射殺した。自分を包んでいた両親の腕はほどけ、新たな死体と血が増えた。「パパ、ママ!!」自分は何度も両親の体を揺すったが反応はない。兵士は自分を殺しもせず去っていった。
まだ八歳の少女だった当時の自分に突如突き付けられた両親の死。ただただ泣いた。何にも出来ずただ守られていた自分が情けなかった。あの時が一番泣いた事かもしれない。
その後地元の兵士が駆けつけて自分ラウハ=ヴェイトネンという孤児を軍部に預けた。自分はただ両親を殺した奴らへの復讐だけに燃え、いつの間にか人の死をなんとも思わず感情も表に出さずミランダ以外は大人も近寄らない暗殺者になっていた。
そう言えば昔両親から毎日言われていたなぁ。ふと思い出す。
「ラウハ、貴女の名前は平和という意味からとったのよ。毎日どこが戦争してるとか誰かが嫌な思いをしなくていい。そういう争いのない世界をつくって欲しい。だから優しくて強い心を持ちなさい。」
だが現実はあの頃からなにも変わってなどいない。インターナショナルフォースという軍組織ができたこと以外。
自分には平和という名がついているのに、平和な世界とは程遠い軍組織で日々起こる戦いを抑えてきた。それは表向きの平和でしかない。その平和を自分達は保って平和な世界だと思っていた。
両親の自分への遺志を自分は受け継ぐどころか逆の道へ辿っていた。自分はなんて親不孝な人間なんだ。
今からでも間に合うなら親孝行をしたい。
ただベッドの上ですすり泣く自分を下の段のベッドにいるミランダは狸寝入りしてその様子を見守っていた。
どうも、読んでくださりありがとうございます。
ラウハの名前の由来は平和という外国語の単語から来ています。「平和な世界で生きて欲しい。」と親(この場合作者のこと)がつけました。
話は変わりますが、皆さんは自分の名前の由来を親や親戚などから聞いたことがありますか?
私は「いろいろなものに恵まれますように。」と母親がつけてくれました。だから作者の本名は唯一漢字で書いてある字なんですよ。名前って時代や名付け親の思いが詰まってるんですね。少し泣けてきました。泣いてばっかですね。
それと次回いよいよラウハには大きな決断が迫られます。
お楽しみに。




