表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

一時間目 雨月アナな学園

自分で一話出すって言っといて、こんな時間かかるってどうなのよ私?

しかも飛んだ駄作だし。

桜の舞う通学路、そこは期待と不安を胸いっぱいに詰め込んだ少年少女達が、明日へ向かって歩き出す輝ける道。

今年も沢山(たくさん)の高校生が、学び舎へと駆けていきました。


―――………の、30分後……、


「ちぃィィィィこぉォォォォくぅゥゥゥゥだぁァァァァアアッッ!!!」


その輝ける道とやらを明日への期待や不安ではなく、遅刻と言う恐怖の一点張りの思いで自転車を駆る少年が一人。

彼は高校の制服に黒いセカンドバック、ボサボサの髪を持っており、口にはおいしいマーガリンを塗った食パンをくわえていた。


ーーークソぅ、高校生活初日で遅刻ってどうなのよ俺ぇ〜!これ急がねーと入学式間に合わなねーぞ!!


少年は自らの思考回路の中で軽く自責をした後、自転車のスピードを早めた。

カンのいい人はもうお分かりだろう。

そう、この少年、ピカピカの高校生なのである。それなのにあろうことか、入学式を遅刻しそうになっているのである。

入学式早々ちこくってどうなのよ。勿論(もちろん)ダメなのよ。


尋常じゃないスピードで走る自転車を、危なっかしさ100点満点のハンドルテクニックで操る少年。

もはやその顔は切羽詰まり過ぎて、泣く子も黙る鬼神と化している……。

そのかいあってか、すぐに彼の目的地である高校が見えてきた。


彼は先程の倍以上のスピードを出して正門を潜り、駐輪場に自分の自転車を突っ込んでから、ダッシュで校舎、ではなく体育館に滑り込んだ。


「ハァ、ハァ。……ギ、ギリギリセーフッ………!」


そう言って少年は、安堵しきった表情を浮かべて、体育館の床に座り込んだ。


……、視線。


「ん?」


少年は突き刺すような視線を辺りから感じ、体育館を見渡す。

見てみるとビックリ、何とそこに居た人間全員の痛々しい眼差しを、この男は漏れなく全部頂戴していた。

何か偉そうな先生もこっちを見ている。


居心地が悪くなった彼は、とりあえず群衆に手を振る。引きつった愛想笑いを添えて。

すると彼は、群衆の中に見慣れた顔を見つけて目を輝かせた。


「あ、お〜い、ルーチェ〜!」


彼は人集(ひとだか)りに隠れたた白銀の頭に声をかける。

すると、彼が『ルーチェ』と呼んだ少年はその呼びかけに気づいたらしく、周りの(え?コイツあのバカのダチなの?)という視線視線を気にも留めず、微笑して小さく手を振った。


……だがその微笑みも、わずか5秒で消え去った。


ボキッ、バキッ、という、指の骨を鳴らす音で。


「ん?何だろ?」


そんな軽いノリで後ろを振り向く彼の後ろに立っていたのは、(いか)つい顔をして竹刀を持って、ジャージ着ていたおっさんだった。

その人こそ、この雨月高校あまつきこうこうの生徒指導の先生であることを、彼、松田ナオトはこのあと身を持って知ったのだった………。


+++


数時間後・雨月高校・屋上


「さ、災難な一日だった………」


黒髪の少年は座り込んで、憔悴(しょうすい)しきった顔でそう呟いた。


「……ナオト、……それ、……お前、……悪い」


隣で突っ立っていた別の少年の駄目押しによって、『ナオト』と呼ばれた少年の心のHP(ヒットポイント)は0になってしまった。


「お、お前まで!お前までそんな事言うんじゃねーよルーチェ!」


『ルーチェ』と呼ばれた白髪の少年は、その整った顔がもったいない程の無表情で


「……だって、……ホントの、……事」


と呟き返す。


「んなっ!こ、この薄情者ぉー!!」


勢いよく立ち上がり、ルーチェに向かってそう叫んだナオトなのだが、どうやらルーチェは『薄情者』の意味が解らないらしく、無表情で小首を傾げた。

それを見て意気消沈したナオトは、もういい、と言って落下防止の金網に身体を乗せる。

そして少しの沈黙の後、


「なあ、ルーチェ、」


「……ん」


「この学校、何か楽しそうだな」


「?」


「他の生徒(ヤツら)見りゃあ分かるだろ、み〜んな、ヤバそうな眼をしてた……!」


「……ん、……そう、……だっけ?」


「ああ、そうだったよ。だから、中学ん時は退屈だったけど、ここなら---」


「……退屈、……じゃない」


「………ああ、そうだ」


ナオトは無口で無表情な自分の友人に向かって、まるで欲しかった玩具(オモチャ)を買って貰った子供のような、無邪気で楽しそうな笑みを浮かべて見せた。


「これから何が起こるんだろうなぁ〜!何でもいいからメチャクチャな事が起きて、命の限り笑っていたい!!……そう思うだろう?ルーチェ?」


ルーチェは明るく元気な自分の友人を見て、薄く微笑みながら、


「……ん、……そうだな」


と呟いた。


「じゃあそんなわけで、これからも楽しくやろうぜ?」


ナオトはそう言って拳を突き出す。

ルーチェはまた、ん、と生返事と一緒に、その拳を重ねた。

ん〜と、

とりあえず、こんな感じです。

こっからは皆さんがよろしくお願いします。

ナオトとルーチェの通う雨月高校で、しっちゃかめっちゃかトラブル起こしてください。

……ホント、誰か応募してッ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ