いけない想い
で、翌日。
今日も欠かさず
「ヒビキ君!おっは」
返事は期待してなかったが、なんと今日はな、な、なんと
「ぉ、おはよぅ」
俺でなきゃ見逃しちゃうくらい小さな声でおはようって挨拶が返ってきた。
なんかすごい嬉しい。
なんか子の成長を見守る親の気持ちを感じた。
「英語のテストどうだった?100点?90点?」
「ぁ、いや、全然そんな・・・」
今回はちゃんとスムーズに会話できてる。けど凄い苦笑いしてる。
「謙遜すんなって。俺、60点で合格ギリギリだったわ」
「あ、僕もおなじ。60点。危なかった」
自嘲気味に陰キャ君は言う。
え、60?陰キャ君が?
陰キャで眼鏡なのに頭良くないの?
なんか勝手に頭いいんだろうと思って距離感じてたのに、俺と変わらないって。
陰キャで眼鏡で頭良くなくて、どうせ運動もできなくて。
弱い。あまりにも生物として弱い。
なにそれ、それって、かわいいんだけど。
陰キャ君の困った顔がさらに弱さを引き立たせている。
顔殴ったらすぐ泣いちゃうんだろうな。
胸の奥が熱くなる。
なんだろう初めて感じるこの想い。
健全じゃない危ういこの気持ちは・・・。
で、その日の夜。
第三回陰キャ君ネトスト大会が開催された。
寝る前に布団の中でみるこれが楽しみで仕方なかった。
凄いぞ、今日はたくさんツブヤいてる。
“これって高校デビューってコト!?”
浮かれてんな。
“こんなに話したの初めて”
“友達できたかも”
凄い喜んでる。
ピュアだなぁ。小学生みたい。
・・・・・・・・・
もし、もし仮に、ここで話しかけるのを辞めたらどうなるんだろ
悲しむかな
どんな顔するかな
逆に陰キャ君の方から話し掛けてくるかな
考えるだけでドキドキする
性格悪いことしてるって自覚はある。でも、それでも陰キャ君の反応がみたくて仕方がない。
あいにく、明日は土曜日。もどかしい思いで心が苦しい。
暗闇の中、巡る思考に囚われその日は寝不足だった。




