第5話:宮廷の闇と二人の絆
宴の騒ぎが収まり、宮廷は一時の静寂に包まれた。
しかし、私の胸はまだ高鳴っている。レオンと共に皇帝を守り切った安堵感と、二人の距離が縮まった心の熱で――。
「アリア、君と一緒に戦えてよかった。」
レオンの瞳が、いつもより柔らかく輝く。
「レオン様……私もです。」
自然と手が触れ、二人の呼吸が重なる。
だが、安心できる時間は長くは続かなかった。
侍女が駆け込んでくる。
「アリア様、また毒の気配が……!」
私たちは即座に庭園へ。月明かりに照らされる草木の間から、微かに紫色の煙が漂う。
「幻の花……またか!」
レオンが私を庇い、二人で慎重に近づく。
その瞬間、魔法の力が自然に発動する。
「♪ 愛の光で鎖を解き、真実を示せ ♪」
光と歌声が庭園を包み込み、毒の花を浄化する。
煙が消えると、犯人の影が明らかになった。
「――この人が……」
前回の事件で陰で暗躍していた貴族の一人だ。権力欲と嫉妬心から、再び毒を仕込もうとしていたのだ。
「なぜ、また?」私は問いかける。
「俺の思い通りにしたかった……!」
動機は単純で、しかし宮廷に与える影響は甚大だった。
レオンと共に証拠を押さえ、犯人は宮廷警備に引き渡される。
「よくやった、アリア。」
レオンが私を見つめる目には、尊敬と信頼、そして温かさが混ざっていた。
その夜、宮廷の庭園で二人きりになる。
「アリア……君がいるから、僕は強くなれる。」
「レオン様……私も、あなたがいるから勇気が出せる。」
互いの手を握り、月明かりの下で静かに見つめ合う。
――宮廷の闇は完全には消えていない。
でも、二人でいれば、どんな陰謀にも立ち向かえる。
翌日、私は日記を開き、今日の出来事を綴る。
「今日も事件を解決。宮廷の闇は深いけれど、私たちは負けない。」
ページを閉じ、窓の外を見つめる。
遠くで朝日が差し込み、宮廷に新たな光を与える。
こうして、私――アリア・ローズの宮廷での戦いと恋は、さらに深く、強く、二人の絆で結ばれていくのだった。
しかし、次なる陰謀の気配が、すぐそこに忍び寄っていることを、私たちはまだ知らない――。