第4話:恋の予感と新たな謎
宮廷での事件がひと段落し、数日が過ぎた。
庭園の月明かりの下、私はレオンと静かに歩いていた。
「アリア……君と過ごす時間が、少しずつ大切になってきた。」
彼の声は低く、真剣で、胸の奥がぎゅっとなる。
「レオン様……」言葉が自然に出る。心臓の音が早くなる。
でも、宮廷での私たちの関係は公にはできない。立場も、危険もあるから――。
翌日、宮廷では豪華な舞踏会が開かれた。
貴族たちは華やかな衣装で集い、音楽が流れる。
「踊ってくれ、アリア。」
レオンが差し出す手を取ると、心がざわついた。
ワルツのステップを踏みながら、彼はそっと囁く。
「君の目、きれいだ。」
胸の奥が熱くなる。でも、その瞬間――宴の騒ぎが途切れた。
「――お、お父様!」
皇帝が苦しみ、手を胸に当てて倒れそうになる。周囲が騒然とする。
「これは……もっと強力な毒!」
私の頭が瞬時に働く。宴会場のテーブルを確認すると、怪しい液体がワインに混ざっている。
「誰の仕業……?」
レオンが私の肩を抱き、低い声で言う。
「君と一緒に確かめる。絶対に守るから。」
私は深呼吸し、冷静さを取り戻す。
宴会場の参加者たちの動機を観察し、微かな香りや手の震え、視線の動きを分析する。
――宮廷の闇は深く、表面だけでは真相は見えない。
やがて、怪しい貴族を特定し、証拠を押さえる。
「あなた……なぜ皇帝陛下を狙ったの?」
「権力……手に入れたかったんだ……」
犯人は動揺し、抵抗もできない。私はその場で解毒薬を準備し、皇帝に投与する。
数分後、皇帝の呼吸は安定した。
レオンが私の肩を軽く叩き、目を細める。
「アリア……君は本当にすごい。魔女としてだけじゃなく、人としても信頼できる。」
胸が熱くなる。私も、少し笑って答えた。
「でも、宮廷にはまだ陰謀が渦巻いています。次はもっと警戒しなければ。」
その夜、私たちは庭園に立ち、月明かりの下で見つめ合う。
「アリア、君がいれば、僕はどんな陰謀でも立ち向かえる。」
「レオン様……」
言葉にしなくても、お互いの気持ちは伝わる。
しかし、宮廷の闇は決して消えない。
――次の毒事件が、すぐそこに迫っていることを、私たちはまだ知らなかった。
こうして、私――アリア・ローズの宮廷での戦いは、恋と陰謀と魔法に彩られた日々へと続いていくのだった。