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第2話:最初の毒

宮廷での初仕事の翌日、私はまだ心臓の高鳴りを感じながら、宮廷の廊下を歩いていた。

黄金の装飾が光る大理石の床、宝石のように輝くシャンデリア――すべてが夢のようだ。


「アリア様、今日は皇帝陛下からご命令があります。宴の準備をお願いいたします。」

侍女が軽やかに告げる。私は深く息を吸い込み、覚悟を決める。


――今日も誰かを守らなくては。


その夜、宮廷は華やかさを極め、貴族たちは豪華なドレスや礼服に身を包んでいる。

音楽が流れ、微かな香水の香りが漂う。まるで舞台の幕が上がった瞬間のようだ。


「アリア様、そろそろ宴が始まりますわ。」

侍女の声に従い、私は会場に足を踏み入れた。


――そして、事件は突然訪れた。


「――あっ!」

姫君が突然よろめき、床に倒れ込む。唇は紫色に変色し、呼吸が荒い。

周囲の貴族たちがざわつく。


「毒だ!」誰かが叫ぶ。


私は瞬時に判断した。

「青酸カリ系……速やかに解毒剤を!」


手早く解毒薬を調合し、侍女たちに指示を飛ばす。皆が息をのむ中、姫君に投与した。


数分後、姫君の呼吸は安定した。

「ありがとう……アリア様。あなたは本物の魔女ね。」


周囲の拍手に少し照れながらも、私の視線はレオンに向かう。

彼は相変わらず冷たい目で私を見つめていた。

「どうやって見抜いた? まさかお前が犯人か?」


「違います。ただ、状況と証拠を分析しただけ。」

私はワイングラスに残る微量の液体を指さす。

「犯人はここに毒を仕込んだはずです。」


宮廷の中で誰が、どんな動機で?

嫉妬、陰謀、恋の争い……想像は膨らむ。


宴が終わった後、レオンが私に声をかけた。

「アリア、君は本当に不思議だ。こんな短時間で犯人を見抜くなんて。」


「え……あ、ありがとうございます。」

本当のことは言えない。現代の知識が、こうして命を救すことになるなんて――。


庭園に出ると、月明かりが静かに二人を照らしていた。

「でも、まだ宮廷には危険が残っている。君も気をつけるんだ。」


「わかりました。レオン様も……」

言いかけて、私は思わず自分の胸が高鳴るのを感じた。


その時、不意に庭園の奥から、薄紫色の煙のような影が漂う。

「――これは、幻の花……?」

触れると幻覚を起こす危険な毒の花。


「危ない!」

レオンが咄嗟に私を庇う。


そして、転生時に得た力――私の魔法が目覚める。

「♪ 毒の鎖を解き放て、愛の光で癒せよ ♪」


歌声と共に、光が花を浄化し、真相が明らかになった。犯人は姫君のライバル貴族だった。


レオンが驚きと尊敬の入り混じった目で言う。

「お前……本当に魔女だな。」


「でも、宮廷の闇はまだ深い……。」

私は拳を握り、心の中で決意した。

――この宮廷で、誰も傷つけさせない。


そして二人の距離は少しだけ縮まった。

しかし、次の陰謀がすぐそこに迫っていることを、私たちはまだ知らなかった――。

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