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第1話:異世界の目覚め

目を開けると、そこは見知らぬ豪華な天蓋付きベッドだった。柔らかな絹のシーツに体が触れ、甘い花の香りが漂う。


「え……ここ、どこ……?」


私は慌てて体を起こす。アリア・ローズ、22歳。昨日まで大学の薬学部で実験漬けの日々を送っていたはずなのに、今の私は、銀色に輝く長い髪と青い瞳の美少女――自分でも信じられない光景だ。


「……転生? 異世界召喚?」


そう考える間もなく、ドアが静かに開き、侍女が入ってきた。


「アリア様、お目覚めですか? 皇帝陛下がお呼びです。今日から宮廷の薬師、つまり『魔女』としてお勤めいただきますわ。」


「魔女……薬師……?」頭がぐるぐるする。でも、わかる。ここで私の薬学知識が生きるんだ。生き抜くしかない。


宮廷は豪華で、廊下には宝石のように光る装飾が施されていた。息をのんでいると、侍女に案内されて皇帝の間へ通される。


そこに立っていたのは威厳ある老帝王と、隣に佇む美しい青年――皇太子レオンだ。金色の髪、鋭い緑の瞳。まるで物語の王子様そのもの。


「ようこそ、アリア。君の知識が我が国を救うだろう。」皇帝が微笑む。


レオンは無表情で私を睨む。

「魔女など信用できるか。証明してみせろ。」


いきなり試練? でも、負けない。私は微かに笑みを浮かべて答えた。

「任せてください。」


その夜、宮廷で宴が開かれた。貴族たちが豪華な衣装で集い、音楽が流れる。

――と思った瞬間、姫君が突然倒れた。唇が紫色に変色し、呼吸が荒い。


「毒だ!」誰かが叫ぶ。


私はすぐに駆け寄った。

「これは青酸カリ系の毒です! 解毒剤を準備してください!」


侍女たちを指揮して即席の解毒薬を調合。数分後、姫君の呼吸は安定した。


「ありがとう、アリア……あなたは本物の魔女ね。」周囲から拍手が沸く。


しかしレオンは疑いの目を向ける。

「どうやって見抜いた? まさかお前が犯人か?」


「バカ言わないで。証拠を分析しただけです。犯人はあのワイングラスに毒を仕込んだはず。」


私は宴の参加者たちを観察し、動機を探る。貴族たちの嫉妬、恋の諍い……宮廷は甘美で危険な舞台だ。


その夜、月明かりの下で庭園を歩きながら、レオンが言った。

「アリア、君は不思議だ。まるで別の世界から来たみたいだ。」


「え……ええ、まあ……」本当のことは言えない。


ふと、不気味な影が現れた。幻の花――触れると幻覚を起こす危険な毒の花だ。

「危ない!」レオンが私を庇う。


その瞬間、私の歌声が宮廷に響く。

「♪ 毒の鎖を解き放て、愛の光で癒せよ ♪」


光が花を浄化し、真犯人が明らかになった。犯人は姫君のライバル貴族。


レオンは驚きと尊敬の混じった目で私を見つめる。

「お前……すごいな。」


宮廷の闇はまだ深い。私の過去の秘密も、きっと何者かの手に触れようとしている――。


こうして、私――アリア・ローズの宮廷での新しい日々が始まった。

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