不審者
転生をしてから、違和感が一つ。
目が開かない。それに身動きも取れない。
何かに埋もれているのか?
だが周りの音は微かに聞こえる。
では、転生魔法の条件を確認しよう。
……急いでやったからあまり覚えてないな。
種族ー人間、性別ーどちらでも良い、くらいか。
察しが悪いわけではない。
地面の中にいるのだろう。では早速掘り起こしてみよう。
魔法で身体を強化し音源の方へと掘り進む。
何やら土が異様に固いのは気のせいだろうか。
そして空気が入ってきた、地面はもうすぐだ!
それにちょうど息が出来なくて苦しかったところだ。
そして地上に出た。
人がたくさん居る。街みたいだ。だが建築様式も衣服も全く知らないものだった。それよりもあの透明の壁の方が気になるな。(ガラス)
周りが俺のほうを見てくる。そりゃそうだ、地面から現れた謎の人間。
そして嫌な予感がする。
俺は客観的に見て紛れもない不審者だ。
まず俺に一番必要なものはなんだ?そう身分だ!だが、それは後回しだ。
なにやら板の様な物を使ってどこかに連絡をしているようだ。会話をしているな。声が嫌でも聞こえてくる。
「地面から…………"裸の人が"……………」
服だ!俺には今服がいる。
服屋は何処だ?(マネキンを見る)とりあえず服が強調されているのはそこか。
とりあえず魔法を使って逃げたい。が、魔力はあるのか?
そこで魔力があるのか確かめるためとある操作をした。
律動!体内の魔力を循環させることにより魔力があるのか確かめた。
魔力はまぁまぁある。ならば転移!
急いで服屋に入る。試着する所は何処だ?
あの鏡のある所か!転移して扉を閉める。
近くの店員に上下の服を持ってくるように言う。
カムイル「そこの上着とズボンを持ってきてくれないか?」
店員「あちらにズボンはありませんが。」
店内を把握する時間はなかった。
カムイル「では一着どれでもいいからズボンを持ってきて欲しい。」
そして服をもらう。
そして試着室を出る。
店員「お似合いですよ!」
さて、俺はこれからどうしたらいいんだ?
店員「お買い上げになられますか?」
まずい、俺には金がない。
カムイル「すいませーん。後払いはできますか?」
か細い声で言う。
店員「クレジット決済でしたら可能です」
くれじっと?知らない言葉だな。
うーん。どうやっても切り抜けるの不可能なのか?
そう考えていると突然「この辺りで地面から出没した不審者を探しているのですが、何か心あたりはありませんか?」という今一番聞きたくなかった言葉が聞こえてきた。