転生
みんなは世界最強と聞いて一体何を思い浮かべる?
堂々と玉座に座り頬杖をついている姿か?
好きな時に好きな事をする"自由"か?
さて、答えは趣味をする時間も、自由な時間もない。飯を食う時間さえ徹底的にスケジュールされている。
何故かって?俺が仕事をしたら早く終わるし上手くいくからだ。
まぁ、最初は忙しくても異論はなかった。何故ならば俺にしか出来ない仕事だったし、遅れたら犠牲者が増えてしまう様なものだったからだ。
だが近々感じるのは"これは俺である必要があるのか?"というものだ。
そう雑用にしか感じない。それを裏付けるように休暇がすぐに取れたのだ。つまりは自分である必要は一切ないという事だ。もう物としか見ていないのでは?とさえ思ってしまいそうだ。
結論、転生することにした。
何故ならば手っ取り早く逃げられるからだ。
だが問題が一つ、それは転生を邪魔される事だ。
仕事場に有象無象しかいないのならたとえ何百人いようと無理矢理"転生魔法"を発動出来るだろう。
だが俺のプロデューサーは世界有数の魔法師であり、最悪な事にコイツが最も優れているのが予知だ。
優先すべきは怪しまれない事だ。常に予知をしている訳ではあるまい。バレたら速攻で邪魔されるだろう。
そうだったとしても一応方法がある。
それは相手を転移させた後自分も転移する。
その後ゆっくり転生魔法を発動させればいい。
ポイントは魔法陣を重ねる事だ。
アイツは魔力を見て未来を見ている。
つまり魔力を重ねれば分かりにくくなる。
まぁ、この手段はあまりしたくない。
何故ならこの手段が失敗したら万事休すだからだ。
そもそもバレたとき用の最悪だからな。
プロデューサー「3日休暇を挟んだ後に……に行ってもらいます」
主人公「分かった」
よく聞こえなかった、聞かなかったの間違いか。
何故ならそのときには俺はいないんだからな!
関係のないことである。
プロデューサー「なんか"カムイル"さんって休みちまちま取る人なんですね。」
カムイル、それは俺の名前だ。
カムイル「ちまちまとしか休みを取れんの間違いだ。パンドラ。」
パンドラ。そう、この俺を管理してくれやがる張本人の名だ。
パンドラ「私なんか一ヶ月くらい一気に休み取りましたよ。」
羨ましいな。いや哀れ奴の間違いだ!これから俺の分の仕事も増えるんだからな。
パンドラ「転移して何処に行くんですかー?」
転移?思い当たらない。何を言っているんだ。
パンドラを見ると予知魔法を使用していた。
バカめ、転移と転生を間違えているな。
カムイル「さあ、何処でしょうね」
そう言いながら自室に入る
急いで転生の魔法を発動しよう!
パンドラが勘違いしている今がチャンスだ。
ドタドタと走ってくる音が聞こえる
ようやく間違いに気づいたか。
だが遅い!転生魔法、発動。