第三十七話
僕の予想通り、それは窪みにピッタリとはめ込むことが出来た。
それと同時に ガラガラ と音が聞こえてくる。
これはおそらく、何かのカラクリが動き始めた音だろう。
少しの困惑を抱えながらも暫く待っていれば、今僕たちが立っていた床が動き始めたのを感じた。
反射的に下に視線を向けると、床が動いて下に続く階段が姿を現していた。
その階段は何か恐ろしい雰囲気を纏い、僕の身体を震わせた。
その様子に足を進めるのを躊躇っていると、男の子は何も気にしないかのように階段を下っていった。
「えっ。」
驚きのあまり情けない声が口からこぼれる。
僕は急いで男の子の後を追いかけた。
男の子はなんの躊躇いもなく、どんどん奥へと進んでいく。
その姿は先程までの男の子とは少しちがう気がした。
辺りが闇に飲まれ灯りが見えなくなった頃、男の子は ピタリ と足を止めた。
僕も男の子に合わせて動く足をその場にとどめる。
なんだろう と思い男の子の目線の先を見てみると、そこには禍々しいオーラを漂わせた黒い箱があった。
男の子はただ真っ直ぐとその箱を見つめている。
僕も男の子の隣に立って、その箱を眺めた。
暫く見つめていた時、僕は少し場にそぐわない感情を抱く。
あの箱の中には何が入っているんだろう、だなんて今目の前にある箱の様子を見て考えることではなかった。
けれど自分の欲には逆らえない。
僕は箱のそばまで歩いていき、蓋に触れた。
箱は カチャッ と音を立てると、簡単に開くことが出来た。
僕は箱の中を覗こうと少し視点を動かす。
しかし、僕が中身を確認する前に激しい頭痛が僕を襲った。
咄嗟に頭をおさえながらも膝から崩れ落ちる。
その様子にたこきれたちは驚きを隠せていなかった。
僕の体はその激しい痛みに耐えかねて、意識を手放す。
「相変わらず優しいね。」
意識を手放す間際、最後に耳にしたのは男の子が呟いた、意図の読めない一言だった。




