第三話
「その、ぶつかってしまいすみません。怪我は無いですか?」
僕がそう尋ねると男の子は
「大丈夫。心配は無用だぜ。」
と僕にたくましく笑って見せた。
その笑顔みをてその子は怪我をしてないと知り安心する。
「それでは。」
そこで一息着いた僕は、学校へと向かおうとその場を立ち去ろうとする。
するとおぞましい音とともにその子の後ろに謎のポータルが出現する。
驚きのあまり声も出ない。
しかしその子は僕と違って特に驚いている様子は見せなかった。
ポータルが人が通れる程の大きさにまでなると、そのポータルの中から一人のタキシード姿の男性が現れる。
その男性は男の子のそばまで行くと肩をがっちりと掴み、離そうとする素振りは見せなかった。
男の子は少しだが顔が青ざめているように思える。
新手の誘拐なのかもしれない、そんな考えに至った僕の体は気づけば勝手に動きだし、男の子の側まで来ていた。
誘拐犯に声をかけようとした時、僕よりも先に誘拐犯が口を開く。
「魔王様、どこをほっつき歩いていたんですか、召使総出で探したんですよ?早く魔界に戻って仕事をしてください。」
僕はその言葉を聞き唖然とする。
『魔王』『魔界』そんな言葉が僕の耳に入り込んできた。
最初は聞き間違えかもしれない、そう思ったが目の前にある謎のポータルを見ていては聞き間違いとは思うことが出来なかった。