29/39
第二十九話
そんなことを思いながら、改めて目の前の扉を見つめてみる。
特に変わった様子を感じさせないこの扉。
けれどその扉のどこかに、自分でも分からない不信感を抱いた。
何に対してそんなことを思ったのか、それすらも分からない。
ただ、その扉には今僕が分かっている範囲よりも向こうに、更なる情報が眠っていると直感が訴えてくるということだけはわかる。
そんな信憑性もない自分の感を信じてしまっていいのかは断言できない。
僕は一度、自分の本能に従って見ることとした。
僕がやたらと扉を眺めていることを不思議に思ったのか、少ししてたこすんが声をかけてくる。
その様子に 珍しい なんて思いながらも、たこすんの声へと耳を傾けた。
「……扉の模様、変わってるね。」
その言葉に少し驚かされてしまう。
たこすんの口から放たれた言葉は、僕にとって予想外のものだった。
「模様?」
模様 と言われてもピンと来るものがなかった僕は、無意識のうちにそう口にしていた。
「扉の模様、一見見てみれば左右対称みたいだけど……。」
たこすんはそこまで言うと、大きな扉の左端と右端、交互に視線を送った。
それに合わせて、僕も扉の端へと視線を送る。
「ほんとだ。」
そこにあったものを見て、僕はたこすんが何を言いたかったのかを、理解出来た気がした。




