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第二十八話
そんな違和感に悩まされていれば、右耳からもう聞き慣れてしまった声が聞こえてくる。
「鍵、か。何処にあるんだろうな。」
そう話しかけてきたのはたこきれだ。
何処にあるんだろうな、なんて口にするその姿は、何かを知っていそうな、でもあと少しのところで答えが分からないというような顔をしていた。
たこきれとは反対の位置にいるたこすんも、僕から見ればたこきれと似たような表情を浮かべていた。
今、僕たちの目の前にはこの大きな扉しかないように思える。
視界を埋めつくしてしまうほどに大きく、一つ一つの模様まで繊細に作り込まれたこの扉は、僕に不思議な力を感じさせた。
これが俗に言う“魔力”というものなのだろうか。
ここは魔界。
特に何事もなく過ごしているからか、ここが人間界では無い別の世界だということをわすれかけてしまう自分がいる。
まあ、僕が住んでいた世界の常識は通用しないと考えた方が良いだろう。
そうとなれば、この扉には何らかの魔力が込められていると僕は思う。
人間界では感じたことの無いこの力。
それに対しても懐かしさを覚える僕は、感覚が狂ってしまったのだろうか……。




