第二十五話
竹林へと足を踏み入れてどのくらい経っただろうか。
声は聞こえるというのに、その男の子の姿が中々見当たらずにいた。
竹がほとんど隙間を残さずに天へと伸びているからだろうか。
視線の先には必ず竹が映り込む。
それもあってか、この竹林の中で人を探すというのはとても困難なものだった。
けれど、探していくにつれて段々男の子の声が大きく聞こえるようになってきているのも事実。
僕たちは諦めることなく、その男の子を
探し続けた。
そこからは案外近くにいたようで、男の子はすぐに見つかった。
「どうしたの?」
男の子のそばまで行き、できるだけ優しいと感じるような声で尋ねる。
最初こそ警戒していたものの、男の子は僕の顔を見てからはぽつり、ぽつりと話しを始めた。
僕の顔を見て一瞬驚いたような、嬉しそうな表情をしたように見えたのは気のせいだろう。
そんなことを頭の隅で考えながら話を聞く。
男の子が最初に発した言葉は、どこか聞き覚えのある声だった。
「……大切なものを探してるんだ。」
男の子はそれだけ言うと、悲しそうに俯く。
そんな姿を見て、誰がこの子のことを放って置けるのだろうか。
「お兄ちゃんで良ければ、探すのお手伝いするよ。」
そう言って微笑みかけると、男の子は嬉しそうに頷いた。
これは“手伝ってほしい”という意味に捉えさせてもらおう。
了承を得た僕たちはさらに詳しい話を男の子から聞くことにしたのだった。




