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第十九話
「遅いじゃないか、早く帰ろうぜ。」
魔王が僕にそう話しかければ、周りの女子たちが一斉にこちらを振り返る。
ああ、本当に変なとこ鈍感だよね。
そんなことを思えば、どこか少しだけ懐かしく感じる。
これは明日も質問攻めにあいそうだ、なんてすこし諦め気味に考える。
「そうだね。」
僕はそう返すと、魔王の手を引いて颯爽とその場から立ち去った。
馬車に乗ってから、僕は本日二度目の質問攻めにあう。
「学校はどうだったか?友達はできたのか?」
こんな様子で、まるで過保護な親のような質問をずっと僕にしてくるのである。
そんな質問に一問ずつ答えられるほど、転校初日で疲れていた僕には元気が残されていなかった。
なので聞き取れた質問に対してのみ答えを返す。
「友達はできたよ。」
なんて返せば、驚いているのかニヤニヤしているのか分からないような表情をうかべるものだから不思議だ。
魔王城から学校までの道のりもそれなりに長いはずなのに、魔王と何気に楽しく話していればあっという間にたどり着いてしまっていた。




