第十八話
校門が近づくにつれて大きくなっていく女の子たちの甲高い声の数々。
そんな声を聞いてか、耳が仕事に拒否反応を起こしている。
大きな声だからというのもあるだろうが、聞き慣れていないということの方が大きいかもしれない。
たこきれの方を見てみれば、とても顔を顰めているのが見て取れた。
わかりやすいな、なんて思いながらも足を止めることなく歩き続ける。
胸の内で雑談を繰り広げながら歩いていれば、女子の大軍が目に入った。
それは何かを囲うように広がっている。
何があったのかと不思議に思った僕は、中心部の様子を見ようと試みる。
そして視界に映ったのは、見覚えのある人物だった。
その人物はこちらに気がついたのか、大きく手を振ってくる。
僕は少し控えめに手を振り返した。
魔王が僕に手を振ったことで周りがより一層騒ぎ始めたことがわかる。
そう、女子の目を集めていたのは魔王だったのだ。
そして思ったことがひとつあった。
僕のことを魔界に連れてきた魔王は、この世界ではとてつもなく人気で、憧れの存在なのではないかと。
僕は今ここに一人の女の子として居る。
魔王がここへ来たのは、恐らくだが僕のお迎えのためだ。
ここで魔王と僕が一緒の馬車に乗って帰れば、女子達からの嫉妬の視線が僕を痛め付けることになるかもしれない。
そんな不安にどうすれば良いか悩んでいると、僕か一向にこちらに来ないのを見て痺れを切らした魔王が、僕のそばまで駆け寄ってくるのが見えた。




