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第十七話
「私はリリー。これからよろしくね。」
リリーはそう言うと僕にニコッと微笑んだ。
「よ、よろしくね。」
いきなり話しかけられたことで心臓が騒いでいるのが分かる。
僕は深呼吸をして、一度気持ちを落ち着かせた。
改めて周りをよく見てみれば、隣の席のこの机には日傘らしきものが立てかけられている。
可愛らしいすずらんの模様が刻まれたその傘は、リリーとどこか似た雰囲気を纏っていた。
転校生である僕のためのクラスメイトの自己紹が終わると、教室内にはクラスメイトたちの小声で繰り広げられる雑談、そして先生の話し声が響く。
そんな中、僕は頬杖をつきながら窓の外に広がる、人間界では目にすることが無い魔界の景色を堪能していた。
しばらくの間先生の話を聞き流していれば、チャイムが授業の終わりを告げる。
休み時間になると転校生の僕を囲うように人だかりができていた。
急遽始まった質問コーナーにうろたえつつも、転校一日目の学校は無事に終了した。
下校を知らせるチャイムの音が聞こえてきたのを合図に、僕たちは帰りの挨拶をする。
挨拶が終われば、後は家まで帰るだけ。
僕は下駄箱で上靴を履きなれない乙女の靴に履き替えると、校門へと足を向かわせた。




