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第十六話
先生の横にたち、自己紹介を始める。
一言目を口にしようとした時、僕は大事なことに気付かされた。
「……ここ、お嬢様学校だぞ?まさか、普通に自己紹介する訳じゃねぇよな??」
たこきれが僕の耳のそばでつぶやく。
その言葉で僕ははっとなった。
教室にいるのはいかにもお嬢様のような格好をした人たちばかりだ。
スカートの足がスースーする感覚になれてしまっていた今、自分がスカートを履いてお嬢様になり切っていることが頭から抜けていたのである。
「私はブラボーですわ。……仲良くしていただけると嬉しくてよ。」
お嬢様がどんな口調で話すのかについてあまり知識がない僕は少しぎこちない形での自己紹介になってしまう。
それでも周りの人達は僕のことを暖かい目で見守ってくれているように感じた。
そんな空気感にどこか安心感を抱いた僕は、気づけば先程までの緊張感をどこかへと置き去りにしてしまっていた。
指定された席に腰かけ、窓の外の景色を眺める。
今日の僕はついているようだ。
窓側の一番後ろの席、この席ほど僕好みの席は無いに等しいだろう。
そんなことを考えていると隣から誰かに話しかけられる。
声のした方を向けば、おそらく僕に話しかけてくれたであろう緑がかった白髪の女の子の姿があった。




