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第十四話
僕が試着室でドレスに着替えて戻ってくると、新たな部屋に連れていかれる。
そこには大きな鏡と、たくさんのメイク道具が並んでいた。
鏡の前に置かれていた椅子に半ば強制的に座らされると、近くにいた召使いさんが側までやってくる。
「魔王様のご申し付けですので。」
そう一言僕に告げると、召使いさんは僕に様々なメイクを施した。
その完成度の高さに驚きながらも、僕は椅子から立ち上がる。
そして魔王に手を引かれるまま歩いていると、目の前の馬車に無理やり乗せられた。
揺れる馬車に乗ること数十分。
そろそろ僕が乗り物酔いをしかけていた頃、馬車が動きを止める。
そして扉が開くと、そこに現れたのは視界に収まりきらないほどに大きな建物だった。
「でかっ。」
思わず声をこぼしてしまうほどに大きな校舎を前に、僕は不安に襲われる。
普通なら転校初日は友達ができるか、勉強についていけるかなどのことを考えるかもしれないが、僕は全くもって違うことを考えていた。
僕が通うのはいわゆるお嬢様学校だ。
そんな学校にお嬢様でもない僕が通うなんて、そんなことがあってもいいのだろうか。
ただでさえ女性と関わることを得意としていないのに、魔王は酷いことをするものだ。
そんな思いは胸の内にしまい、僕は大きな門をくぐった。




