魔法少女からのお願い
「助けてよ。」
急にそんな風に話しかけられた。特徴は16歳ぐらい、女性、アジア系の顔で顔立ちが整っている。ぐらいだろうか、強いて言うなら腕にミサンガを付けている。
「どういうこと?」
「助けてほしいの」
「えーっと、どこをどの風に助ければいいの?」
「ついてきてほしい。」
理解できずに「ん?」と返すと、少女はカバンからから水瓶のようなものを出し、割って、水の扉を作った。
「来て」
展開が早すぎてついていくことができない。多分「来て」の意味はこの扉にくぐれということなんだろう。
今の情報を整理すると、まず、この扉は1分前まではなかった。そして、この扉は少女が出した。で、その少女からいま助けを求められている。
「ボーっと立ってないで早く来て。」
ぼーっとしているわけではないんだけど。
「えー、あー、うん、分かった。」
僕が今ここで「うん」といったところで世界が大きく変わった。うまく表現することはできないけれど。視界が急に変わったみたいな感じ。
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変なところに来た。でも、やっぱこの感想におちつく。
「ここはどこ?」
「私の住んでいる場所。」
和の町。今僕がいる場所を一言で例えるとすると和の町になるだろう。100年前比較的建物がきれいな時の京都みたいな。そんな感じがする。で、来たのは別にいいんだけど帰りたい。現実世界に。「うん」なんて言わなければよかった。
「あのー、帰りたいんですけど、、、」
「帰らせない」
「えー」
何か、そんなことを言われる気がしていた。どうしよう。一人じゃ絶対に帰れる気がしないんだけれども。そうだ、携帯を見よう。
電波無し
終わった。いや、前向きに捉えよう。人生何があるかわからないと。
「もう一度質問していい?、ここはどこ」
「私の町」
んー、会話が嚙み合っていない。僕の質問が悪いのかもしれないんだけど。僕は、ここはどこの国でどこの場所なのかということを聞いているのに。いや、これを聞いても、私の街って返ってくるかもな。同じような質問して怒らせたくないし、ほかの質問をするか
「じゃあ、質問を変えます。貴方は誰ですか?」
「さくら、、、、近藤さくら。」
日本名、日本人の名前だな。確かにしっかりと顔を見れば日本系大和民族の顔をしている。でも、ここは日本ではない。そうだろう。だって、電柱はないし、ていうか、まず電気通っている気がしない。そして、電波もない。
「あの、水瓶は何?」
「扉が出せる瓶。」
「扉?」
「そう扉。ほんとはもっとややこしいんだけど。簡単に言うと、魔法、説明がめんどくさいから言わない。」
魔法、魔法って本当にあるんだ。僕も小さいころ魔法使いになることにあこがれてたな。
「まじか。魔法って本当にあるんだ。で、君は私に何を助けてほしいの?」
「魔法使いになるために手伝ってほしい」
もう、魔法が使えているのでは?と思ってしまうが、それは気のせいなのだろうか。聞いてみるか。
「もう使えているんじゃないの?」
「いや、まだ、私は魔法が使えない」
「まだ」ということはいずれ魔法が使えるようになるということだろうか。疑問は残る。さっきの水瓶のこととか。
「じゃあ、さっきの水瓶は?」
「それはお母さんが作ってくれたの?」
お母さんが作った。つまり、お母さんは魔法が使えるということだろう。そうだろう多分。
「お母さんは魔法が使えるんだ。」
「いや、父も使えるの。私の祖父も祖母も、歴代の人全員ね」
この言葉を言ったさくらは少し泣きそうな顔をしていた。
一族系か。大変そうだなぁ。うん。
この人だけ魔法が使えない。だから、焦っているのだろう。こんな一般人に頼むぐらいなのだから。で、僕は何を手伝えばよいのだろうか。
「あなたには、魔法瓶をゲットするために手伝ってほしいの。」
魔法瓶?誰かが作ったやつってこと?
「つまり?」
「魔法使いになるためには魔法が使えるようになる特別な水を飲む必要があるの。で、その水を飲むには試験があってその試験が来週あるの。それに手伝ってほしいの。」
嫌な予感がする。これ、死人が出る試験だ。よく、WEB小説で見る展開だ。これ主人公はいろいろあってクリアできるけど、死ぬ人の方が多いやつ。参加したくない。
「やだ。それ、それだれか死ぬでしょ。」
「誰も死なない。ただの筆記試験。」
、、、その言葉が本当だったらいいけど、でもなんで僕なんだろうか。ほかの人に頼めばいいのに。
「なんで私なんですか。ほかの人でいいじゃないですか。」
「テストを参加するのに、一般人が必要なの。であなたが私の顔の好みにぴったりだったから連れてきたの。」
大迷惑である。ただの顔の好みだけで僕の人生が終わってしまう可能性がある場所に連れてこられたことが。
「報酬もちゃんとあるよ。だからお願い」
報酬。ちゃんとした報酬だろうか。いや、魔法瓶とかをもらえるのであればやる価値はあるかもしれない。だって、その魔法瓶は多額で転売できるだろう。魔法瓶が報酬じゃなかったとしても、将来魔法使いになる可能性のある金の卵からのお願いは受けないわけにはいかない。試験も筆記試験らしいし。命の心配は必要ない。多分。
この世界来てから、「多分」という言葉を使うことが多くなったな。まぁ、それは置いといて。
「分かった。やる。」
こんな面白そうなことは二度と起きない。いや、面白いをおいても、こんなことは二度と起きないだろう。起きたら逆に怖い。
「で、私は何をすればいいの?」
「それはまだ秘密。」
彼女はそう言い、優しく、少し小悪魔的にとても可愛く笑った。