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第102話 ラトベルトにハニトラを仕掛けるぞ!

 ラトベルトが『宝』を盗んだことは、アグリたちとしては明白だ。


 ただし、『才能』を抜き取ってきたラトベルトたちが『宝』を手にするという事は、どれほど人間社会で『暗躍』できるかではなく、『金』の問題になってしまう。


 何を考えているのかはわからないが、とてもヤバそうなのでそれを防ごうとしているわけだ。


 ただそのためには、盗み出した『宝』の管理をしているであろうラトベルトが表に出てこなければならない。


 アグリが手に取った宝石。


 紛れもなく『宝』の強化アイテムであり、おそらく『宝』を持っているラトベルトからすると欲しいアイテムだろう。


 しかし……。


「……『宝』を強化することができるアイテムだってことは事実でも、それって、ラトベルトを釣れるとしても、『宝』を持ってくる理由にはならねえよな」


 あくまでも最終目的は『宝』を取り戻すこと。


 だからこそ、『宝』を相手が持ってくる動機を用意する必要がある。


 だが、強化アイテムを持っているからといって、じゃあその『宝』を持ってくるかと言われれば、トテモ怪しい。というか、持ってこない可能性が非常に高い。


 強化アイテムが欲しいのならば、宝を拠点に置いたままこちらに来ればいいのだから。


「考えられる作戦は二つだぜ!」

「え、二つ? 俺は一つだったけど」


 キュウビは作戦が二つあると宣言したが、アグリは『一つでは?』と思っているようだ。


「……まあ、俺が考えていることを話すと、この強化アイテムを、『アグリが持っている』という情報を広めること」


 人差し指を立てて、アグリは説明を開始した。


「相手の勢力がどれほどの戦闘力を持っているのかはわからない。ただ、シェルディにカードを渡しに来た時、あの様子を考えると、俺を倒して奪うって発想なら、まずラトベルト本人が出てくるはず」


 分かる人が見れば、状況証拠だけでも、アグリは圧倒的に強い。


 そんなアグリを倒して強化アイテムを奪うとするならば、一番強い個体であろうラトベルトがやってくるのはほぼ確定だ。


「今回の『宝』だけど、これは金貨さえ獲得できるなら、『誰であっても質の高い才能を抜き取れる』ということになる。言い換えれば、ラトベルトのことをよく思わない勢力が彼の部下にいた場合。拠点に『宝』を置いたままだと、席を空けたときに取られる可能性がある」


 あくまでも、彼らは『才能』を抜き取っている。これは間違いない。


 何に使うのかはわからないが、ラトベルトがため込んだそれを私的に使っている様子はほぼないので、『もっと上』の判断だ。


 ラトベルトから『宝』を盗み出せば、今度は自分が、圧倒的な量の才能を『上』に提供する有望株と言う扱いになる。


「だからこそ、ラトベルトは『宝』を持って行動せざるを得ない。まあこれはこの強化アイテムに限らないね。『ラトベルト本人を釣れるほど』の何かがあるのなら、彼は、宝を拠点から持ち出さざるを得ない」


 ラトベルト本人を呼び出せない場合、特に意味はない。自分が『宝』を持ったまま、部下に命令してその部下がこちらに来るだけだ。


 だが、『強化アイテム』は、紛れもなく『魅力的』だ。そしてそれをアグリが持つ以上、ラトベルトが出てくるだろう。


「……なるほど、それで、宝を持ってきたラトベルトから奪い返すってわけか」

「そうなる」

「まあ、『宝』の性質や、向こうの目的とか、いろいろ加味するといいルートではある」


 ちなみに、『ラトベルトから宝を盗み出せば、次は自分が有望株だ』という価値観を相手が持っていない場合、亜人領域に行ってその価値観を噂をして広めればいいだけである。


「……で、キュウビは何を考えてるの?」

「俺様の計画は、そんな安い話じゃねえ」


 チッチッチ。ともったいぶるキュウビ。


「すなわち、『ハニトラ大作戦』だ!」

「は、ハニトラぁ?」

「そうだ! まず、亜人領域に近く、人があまりいない場所に酒場を建設する」

「怪しすぎでしょ」

「そして、あるじの動向が気になったラトベルトが密偵を送ってくるだろうから、その密偵にチラシを配るのさ」

「見つけ出される前提の密偵って惨めにもほどがありますね」

「そのチラシには、『宝』を支払うと、特別メニューであるじがエロい格好で対応してくれるって書いてるのさ!」

「……駄目だ!」

「どうしたマサミツ」

「会長の、会長のエロい格好は、狐組の資源でなければならない! 部外者に見せるなど言語道断!」

「ぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」


 ものすごく頷きながらランも同意した。


「……まあまあ、キャバクラ作った時に、一日、俺の体を好きにしていいから」

「わかりました! キュウビさんの作戦に乗ります!」

「現金な奴だな……」


 キュウビも呆れた。


「……で、それって、上手くいくのか? 鬼って性欲あるの?」

「あるだろ。ないなら作ればいい」

「どうやって?」

「あるじのエロい格好で精通させればいいのさ」

「最悪だなこの狐……」


 これぞハニトラ。


 まあ、実際に店の中でどうなってしまうのか。想像もつかないが……いや想像できる方がおかしいか。


 それはそれとして、『ハニトラ大作戦』に決まりました。


 ……世も末である。

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