replica
●様々なスタイルの曲が詰め込まれ、「個性」の代わりに「完成度」「聴きやすさ」を追求した印象が。
【収録曲】
<ディスク1>
1.Audio 007
2.ZERO
3.美電球
4.カーニバル
5.1リッター分の愛をこめて
6.常熱
7.Audio 006
8.宮
9.黒子
10.逆光 -replica-
11.NEO JAPAN
12.呼吸のように
13.怪獣の花唄 -replica-
14.Audio 008
15.replica
<ディスク2>
1.Audio 003
2. 世界の秘密
3.融解sink
4.しわあわせ
5.benefits
6.花占い
7.Tokimeki
8.泣き地蔵
9.踊り子
10.裸の勇者
11.恋風邪にのせて
12.走馬灯
13.mabataki
14. CHAINSAW BLOOD
15.瞳惚れ
16. 忘れ物
17. 置き手紙
18. まぶた
19. そんなbitterな話
20. トドメの一撃 Feat. Cory Wong
発表してきたシングル曲をどうやってアルバムにまとめるか……こういった問題に直面しているアーティストは少なくないと思いますが、このVaundyというミュージシャンが取った手法はなかなかユニーク。2枚組にして、「ディスク1」は新曲を中心に収録し、「ディスク2」は数多くのシングル曲をリリース順にそのまま並べる、という構成になっています。
個人的により良く感じられたのは「ディスク1」の方でしょうか。「ディスク2」は様々なスタイルの曲が雑多に並んでいてとっ散らかっているイメージがあるのですが、「ディスク1」においてはしっかりと曲順が練られているように思えます。中でも、後半で一気に盛り上がるバラードの『呼吸のように』→ポップなロックナンバーの『怪獣の花唄』→壮大に締めくくる『replica』の流れが印象的で、「プレイリストではなく、アルバムとして聴かせる」という姿勢を受け取ることができました。
とはいえ、色々な音楽性を取り入れたり、曲によって歌い方を変えたり……等と「様々なスタイルの曲を聴ける」という点は「ディスク1」「ディスク2」で共通しており、良く言えば「飽きない」のですが悪く言えば「彼ならではの個性が見えにくい」点が目立ちました。また、先程挙げた『怪獣の花唄』については曲自体は良いと思うのですが、曲調・歌い方がNICO Touches the Wallsに酷似しており、これが彼の代表曲となっている事実にどうしても複雑な感情を抱いてしまいます。
まあ、今作自体が『replica(複製)』というタイトルですし、彼自身が「アーティストの持つ唯一無二の世界観」……的な要素自体を重要視していないのでしょう。ある意味、「個性」の代わりに「完成度」「聴きやすさ」を追求した作品と言えるのかもしれません。
評価:★★★★