ヒロへ(北回り)
翌日、朝少し早い時間に起きてラナイから外の景色を眺める。
コハラコーストは、今日も晴天だ。マウナケアの方角を眺めてみると頂上に少し雲がかかっているが、それ以外には雲は見当たらない晴天で、12月とは思えないほど、日差しは暑く感じた。
部屋のコーヒーメーカーでコーヒーを淹れて、前日空港で買っておいたスナック菓子でとりあえず腹を黙らせて出かけることにした。
バッグに財布、免許証と冷蔵庫からミネラルウォータを1本とカメラを持ってバレーパーキングでキーの控えをパーキングの兄ちゃんに渡し、車をピックアップ、駐車場は少し離れているようで、しばらく待っていたら車がやってきた、車を受け取りヒロに向けて車を走らせる。
車に乗って、少し違和感があった。サンバイザーに挟まれていた、レンタカー会社のチェックOKのシート、昨日外したのに、またついている。
???と思って、車を脇に止めてナンバーを確認すると、昨日借りたやつと違う車だ。色も車種も同じなので、受け取ったときには違和感がなかったが、これはまずい、急いでホテルに戻る。
バレーパーキングの兄ちゃんに、「車間違えている」と伝えると、慌てて確認して、しまったという顔になっていた。
本来私が乗るべき車は、私より少し前に出かけたようだ。
違う車で出かけて事故にでも遭うと保険が適用されないことになり、どえらいことになるのでこのまま出かけるわけにはいかない、どうしたものかと困った。
いくらホテル側の間違いだと言えども、ここはアメリカ、トラブルになるとちょっと面倒になるといやな気分に、しかもヒロまでは時間がかかるので、どうしたものか。
とりあえずフロントに話をしに行こうかと玄関前のベンチから立ち上がったところ、同じ車が戻ってきた。どうも、向こうも間違いに気がついて戻ってきたようだ。車を降りた夫婦も苦笑いをしている。
バレーパーキングの兄ちゃんも、ほっとした顔をしているが、いやいやあんたが悪いんだろうがと、小言の一つもいいたくなる。
バレーパーキングの場合、係員はメモに書いてある車種や色を見て、同じだと、ナンバーも確認せずにこれだと思い込むことがある。まさか、タイプが同じで、色も同じ車があるとは普通考えないようだ。
まあ何事もなかったので、苦笑いしながらもう一台の車の主と、お互いの車を交換して、再度出発した。
さて、ヒロに向けて走ることにする。ヒロへのルートは、北回り、南回りともう一つマウナロアとマウナケアの間を通るルートがあるが、今回はコース的に一番無難な、北回りのルートをとることにした。
北回りのルートは、海岸沿いをずっと走るわけではなく、少し内陸側を通ることもあるルートであり、途中いくつか北側の海岸へ抜ける道があり、その一つがワイビオバレーに続いている。
また、オリジナルカメハメハ像(オアフ島にあるカメハメハ像は、実は二つ目の像である。初代は、輸送途中で難破して沈んでしまったため、二体目が制作されてオアフ島に納められた。その後、初代の像も引き揚げられて、カメハメハゆかりの地であるハワイ島に置かれることとなった。その像は、郵便局の前の広場に設置されている。)がある町などを通り過ぎて、その後海岸線近くに道は延びて、ヒロに向けて南下していくことになる。
ハワイ島も西側は乾燥した気候となっている。
太平洋を渡ってきた北東貿易風は、はマウナロアとマウナケアに行く手を遮られ、海を抜ける時に蓄えられた大量の水分を、雨として島の東側に落とし、長い年月をかけて溶岩台地を一面の熱帯雨林へと変貌させていき、山を超えた貿易風は西側に、乾燥した大地を形作っていった。
そんなことを思いながら、車を走らせるとパーカー牧場のあるワイメアあたたりから少しずつ、空に雲がかかってきたと思っていると、雨が降ってきた。
(続く)