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勇者召喚されました

暇潰しになれば幸いです。



「やったー!!成功したぞっ!」


歓声と拍手が色彩は白一色の例えるならギリシャ神殿と、どこぞの教会を混ぜた様な様式の広間を揺るがせた。


これ異世界召喚かな…?


あまりの事に逆に冷静になる。


確か俺はいつもの様に定時で上がり今日は豆腐ステーキだと割引された豆腐と大根、青ネギを買って「醤油はまだあったよなぁ」とか考えながら信号待ちをしてたんだ。

信号が青になってさぁ行こうと思ったら俺より先に黒ネコが駆け出したのを見て「不吉~」なんて冗談で思ってたら横断歩道が光ってあっという間もなく今ここ←


足元に毛を逆立てた黒ネコがいた。お前も来ちゃたの?

相棒になりうる右前足に白い靴下をはいたネコを抱き上げ周りを窺う。


黒いローブにフードを被り杖を持ったちょっと怪しい人が10人ぐらい、サンタの様なひげに恰幅のいいというよりどう見ても肥満体の白い神官ぽいローブの老人。少し離れた所にフルアーマーの騎士っぽい人が20人ぐらいかな?その中に一人、2mはありそうな巨体に顔はちょっと厳つめの漢前で右頬に古傷がある、燃える様な赤髪の隊長?っぽい人がいて目をひいた。


まぁでももっと目をひくというより、2度見3度見してしまう程の奴らがいて思わず目を擦った。

俺も結構異世界召喚物の話を読んだけど見た事なかったはず。

つい腕に力がはいって黒ネコが「みぎゃっ」と鳴いた。悪かったよ。


だってさビキニアーマーの大剣を背負ったアマゾネスとか、一見清楚風な白ワンピースでも巨乳がピチピチな聖女っぽいのやら、小さなとんがり帽子にモノクル、星形付のステッキ、ここまででも属性が多いのになぜかハイレグに網タイツの多分魔女。

そしてそれに囲まれて鼻の下を伸ばしながら召喚成功を喜んでる、黙ってたらイケメンそうな金髪碧眼の詰め襟の騎士服っぽいのをきて勲章をじゃらじゃら着けてるヤツがいるんだ。

お笑い要員だろうかと真剣に考えてしまう。


現実逃避気味に思考を飛ばしてたら、やっと落ち着いたのか白ローブの肥満体の老人が俺の側まで来て、両腕を広げて演技がかった口調で歓迎した。


「ようこそおいで下さいました、勇者様!」


おおぅ、やっぱり勇者召喚なんだ。


っていうか俺はしがない安定志向の公務員であって、こういうのは夢見る学生が呼び出されるモンだろうが!

心の中で荒ぶっているとお笑い要員(推定)たちも近付いてきた。


「よくぞ参られた、勇者殿。私はこの国の第二王子にして次期国王でもある。我がアールスト王国は今魔国に攻め込まれようとしている未曾有の危機的状態なのだ。どうか我らと共に戦い我が国を救ってくれ」


ええ…、勝手に誘拐(召喚)しといてなんか上から目線なんだけど。

このお笑い要員(推定)が次期国王ってこの国大丈夫か?


「殿下、まずは鑑定をして能力の確認をしましょう。さっ、勇者様こちらに」


そうやって誘導されたのは俺の胸の高さの台に乗せられたバスケットボールぐらいある透明な水晶の前だった。


「こちらはダンジョン産の我が国自慢の鑑定水晶なのです。なんと言ってもこの大陸に三つしかなく大変貴重な物にございます」


自慢話は聞き流しながらもファンタジー要素にワクワクする。

促されて水晶に両手をかざした。

すると水晶から光が溢れだし部屋中に広がり、赤、青、緑、黄色、白と五色に水晶が染まった。

これを見て召喚された時の様にまた歓声が上がる。


「おおっ、さすがですな!我が国最高峰の魔導師団長でも三属性なのに火、水、風、土、光の五属性とは!」


「それにこの輝き!魔力量も最高ではないか?」


要約すると水晶の色が属性で、光が魔力量って事か。

ちょっとゲームっぽく出てくるかなと思ったのに残念だな。

(ステータス)なんちゃって。心の中で呟くと目の前に画面が現れた。



◆ ◆ ◆ ◆


沖田 健士朗(おきた けんしろう)


ジョブ 勇者


スキル 武器全般

    魔法全属性 火・水・風・土・光・闇・無

    鑑定

    テイマー(従魔:黒ネコ(聖獣))

    錬金術

    附与術


固有スキル 全言語翻訳


参考 魔力∞


 ・

 ・

 ・

 ・

(空白)スクロール


追伸 鑑定水晶は誤魔化しといたよ(テヘペロ)


◆ ◆ ◆ ◆



なんだろう、突っ込み所満載なんだけど取り敢えず一番最後がすごくムカつく。

検証は後にして俺をおいて進んでる話を止めないとな。


「わっはっはー、魔国などとるに足らぬな」


「さすが殿下ですわ」


「これで彼の者たちを見返せますわね」


「私たちパーティーがどれ程すごいか目に物見せてくれるわ!」


コスプレ女子に囲まれて鼻の下を伸ばしてる次期国王らしい第二王子。

悪役っぽいセリフが怪しすぎる。


「あのー、二、三質問したいのですが…」


「おおっ、勇者殿なにかな?」


まずは一番重要な事。


「その魔国を倒したら、私は元の世界に帰れるのでしょうか?」


はい、皆一斉に顔を逸らしたり目を泳がせてるよ。

やっぱり帰れないのか。ラノベとかでも大概帰れないか、いろいろ超越して無理やり帰ったりしてるもんな。

うーん正直俺はあんまり未練はない。

片親で育ててくれたのは祖父母。その二人も俺が大学に入った頃に相次いで亡くなって、親は忙しいと葬式にもでなかった。なので肉親に未練はないし、友達はそこそこいたけど親友程じゃなかったし、彼女?なにそれ美味しいの?だ。

仕事も多少同僚が困るかもだけどそのくらい。身軽なもんだ。


なので次の重要点をば。


「その魔国に行く軍勢はもう決まっているんですか?」


まさかのセリフが聞こえたから敢えて聞いたけど


「軍勢とは何を言うかと思えば、行くのはもちろん勇者殿と我らパーティーの五人だけだが」


いくらなんでも国相手に五人とか無理だろうが、馬鹿じゃない?


本当に馬鹿じゃなかろうか。

実は奴らが騒いでる間にステータスに【鑑定】があったのでお笑い要員たちを鑑定してみたんだ。


◆ ◆ ◆ ◆


第二王子


ジョブ 同上

スキル 水魔法

固有スキル なし

参 考 魔力中


◆ ◆ ◆ ◆


アマゾネス


ジョブ 剣士

スキル 大剣

固有スキル なし

参 考 魔力少


◆ ◆ ◆ ◆


巨乳女子


ジョブ 聖女

スキル 光魔法

固有スキル なし

参 考 魔力中


◆ ◆ ◆ ◆


魔女


ジョブ 魔導師

スキル 火魔法 風魔法

固有スキル なし

参 考 魔力中


◆ ◆ ◆ ◆



名前がないなんて俺の感情が滲み出てる鑑定結果だね。

しかし俺がいくら勇者でもこいつらのステータスショボすぎないか?

試しに一番強そうな赤髪の団長ぽい人も鑑定してみた。



◆ ◆ ◆ ◆


ピア


ジョブ 大剣士

スキル 剣豪 火魔法 無属性魔法 物理耐性 魔法耐性 悪食 野生の勘

固有スキル (狂戦士化)未覚醒

称 号 脳筋兄貴

参 考 魔力多


◆ ◆ ◆ ◆



この人のも突っ込み所満載だけどそれはおいといて、疑問を投下。


「あちらの赤髪の人の方が強そうですが、なぜそちらの女性がメンバーなんでしょう?」


周りが皆ギョッとして固まった。

赤髪の人は口までぽっかり開けている。


「何を言う、戦場に潤いと癒しは必要だろうが!」


いやいやいや!生きるか死ぬかの戦場で潤いと癒しってそっちが何言ってんの?!

そこのアマゾネスも頬を染めるな!

これはやっぱり第二王子お前のハーレムパーティーだろうがっ。


そんなのに命懸けられるかよっ。

こうなったらどうやって使うかわからないけど全属性魔法使って逃げだそう。


その前に俺は一言言ってやるぞ。


「命懸けの戦場で潤いと癒しってなんですか?戦力になるんですか?そもそも第二王子様は強いんですか?」


その言葉と同時に俺はお城を追い出された。


ふふふ、計画通り!


抱いてた黒ネコが「みぎゃ~」と呆れた様に鳴いた。



ありがとうございました。



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よろしければ他の作品もご覧下さい。



第三王子は慄いた【短編】


転生攻略者はかく語る【完結】



評価、いいね、ブクマ、感想ありがとうございます。

とても嬉しく励みになります。

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