6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
ご覧いただきありがとうございます。
※文章の半分以上がひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
ふんわりした世界観です。6歳の子がメインの話なので、ざまぁもゆるめです。
みなさん こんにちは。ぼくは アーサー・ノーザッツです。
ノーザッツおうこくの さんばんめのおうじです。
ことしで 6さいになりました。
ぼくは けんぶんをひろげるために きぞくではないこどもと はなすことがあります。
ふつうのいえのこどもは がくえんで「さくぶん」をかくそうです。じぶんのこと かぞくやともだちのこと さいきんあったこと いろんなことをかくといっていました。
おもしろそうだとおもったので ぼくもかいてみようとおもいます。
ぼくのちちうえは このくにのおうさまで いつもとてもいそがしいです。でも おあいしたときは あたまをなでてくれて だっこもしてくれます。
ときどきへやにいれてくれて つくえにあるアメやチョコレートを ひとつだけわけてくれます。しごとで すごくあたまをつかうので あまいものがほしくなるそうです。とってもおいしいので こっそりふたつたべてしまったこともあります。
ははうえはいません。ぼくをうんですぐになくなってしまったそうです。ちちうえとなかがよくて とてもきれいな人だったときいています。
ぼくにはあにうえがふたりいます。
セラードあにうえは18さいで ぼくと ははうえがおなじです。いまはとおくに「りゅうがく」して たくさんおべんきょうしています。よくおてがみをくれます。
ゴードンあにうえは17さいです。ゴードンあにうえの おかあさまは ぼくとセラードあにうえのははうえがなくなってから あたらしいおうひさまに なったそうです。
ぼくは ちちうえと ははうえと セラードあにうえはすきですが ゴードンあにうえのことは あまりすきではありません。マリーおねえさまに いじわるをするからです。
マリーおねえさまは15さいで ゴードンあにうえの「おきさき」になるひとです。「こんやくしゃ」というんだそうです。あおぞらみたいなめに ふわふわのハニーブロンドをゆらして いつもにこにこしています。ぼくにもとってもやさしくしてくれます。
なのに ゴードンあにうえはマリーおねえさまをいじめます。
おおごえで わるぐちをいって マリーおねえさまは おしろのなかでないていることもあります。でも いいかえしたりしません。おおきなめになみだをためて じっとがまんしています。かわいそうです。
おんなのこを なかせるなんて ゴードンあにうえは おとこのかざかみにもおけません。あしもくさいから きらいです。
それにゴードンあにうえは ほかのおんなのこ ともなかよくしています。ともだちをなんにんも おしろの「おうじぐう」によんで ピンクのかみの おんなのこだけを じぶんのへやにいれます。それからずっと ふたりでたのしそうにはなしています。ほかのともだちは おうじぐうの べつのへやで まっています。
ゴードンあにうえは ピンクのこに あいつらはカモフラージュでいっしょにこさせているんだ といっていました。
ピンクのおんなのこも マリーおねえさまに きついことばで いじわるをいいます。ゴードンあにうえがすきなのはわたしだとか あなたなんか「いえがら」しか「とりえ」がないとか。
それに いつもゴードンあにうえに ドレスやアクセサリーを おねだりしています。ゴードンあにうえは オレには「おうじひよさん」があるから しんぱいするなといって どんどんきいてあげているようです。
おうじひよさん ってなんだろうとおもって おべんきょうのせんせいに きいてみました。おうじのおきさき のためのおかねで おきさきが まだこんやくしゃのときは おうじがかわりに かんりするんだそうです。
それなら マリーおねえさまのおかねではないでしょうか。どうして こんやくしゃではないピンクのかみのこに つかうのでしょうか? ふしぎです。
うーんとかんがえていたら、せんせいに どこでおうじひよさんのことをしったのですか? ときかれました。ぼくは ゴードンあにうえが いっていたことを はなしました。そうしたら いつもえがおのせんせいが めずらしく とてもこわいかおになりました。びっくりしたぼくは おうじひよさんについて もっときけませんでした。
きょうのあさ おしろのなかをあるいていると ゴードンあにうえが あわててはしってきました。
なんでもっとはやくおこさなかったんだ とまわりにおこっていたので、ねぼうしたんだとおもいます。
ゴードンあにうえがはしっていったあとに カフスがおちていました。ゴードンあにうえは らんぼうなので ふくのかざりが よくとれてしまうんだそうです。
あにうえのへやに おいておこうとおもいましたが、おうじのへやには おうぞくか きまったひとしかはいれないというので ぼくがもっていくことにしました。
ゴードンあにうえのへやは ちらかっていました。あわててじゅんびをしたのか つくえから かみがとびだしていました。きれいにしてあげようとおもって つくえをあけると かきかけの「てがみ」と マリーおねえさまの「しゃしん」がありました。「きろくまほう」でさつえいしたんだとおもいます。
ぼくはおどろきました。しゃしんのマリーおねえさまは ころんでいて ドレスがひざのうえまでめくれてしまっています。しゅくじょは あしをだしてはいけないそうで これは すごくはずかしいしゃしんなんじゃないかと おもいました。
てがみには ちいさなもじが いっぱいかいてあって むずかしいことばもおおくて よめませんでした。
そこで そとにいたぼくのにょかんのリリに しゃしんとてがみを みせました。なんとかいてあるのかきくと、てがみをよんだリリは とてもおどろいていました。
これがゴードンさまのへやにあったのですか? ときかれたので、ぼくはうなずきました。
リリは すぐにべつのひとをよんで なにかをみみうちしていました。リリも おべんきょうのせんせいとおなじ こわいかおをしていました。
そのあとは おべんきょうがあるので ぼくはへやにもどりました。せんせいがなかなかこないので このさくぶんをかいて まっていることにしました。せんせい、はやくこないかな。
さっきから なんだかおしろのなかが ざわざわしているみたいで ふしぎです。
ついき
いま、すごくうれしいしらせがとどきました。いつもいそがしいちちうえが せんせいといっしょに ぼくにあいにきてくれるというのです。せっかくかいたので ちちうえに このさくぶんを おみせしようとおもいます。それで マリーおねえさまがかわいそうだと ちちうえに「じきそ」します。どうかマリーおねえさまを たすけてあげられますように。やさしいマリーおねえさまが いつかぼくのおきさきになってくれたら とってもうれしいです。
うまくかけたかな。ちちうえに ほめてもらえるといいな。
◆◆◆
ノーザッツ王国の第二王子ゴードンが、自身の婚約者であり公爵令嬢マリーベルに不当な扱いをし、彼女のために充てられた王子妃予算――婚約式が済んだ時点で付与されるもので、正式に婚姻するまでは王子が代理で管理する――を別の男爵令嬢に使い込んでいた件は、大きな波紋を呼んだ。
しかもゴードンの部屋からは、マリーベルの写真と、そこに写る内容を盾に彼女を脅す手紙が発見された。
マリーベルが婚約者からの理不尽な扱いに反論せず、現公爵にして宰相である父や王家に訴えもしなかったのは、公爵家の娘として失態を晒した場面を撮られて脅されていたからであった。雨が降っている日に王城の床で滑って転倒してしまい、貴族の令嬢としては大変にはしたない姿を見せてしまった一瞬を記録されたのだ。
ゴードンは、マリーベルの弱みを握って言いなりにさせようと日頃から配下に見張らせており、記録魔法の道具を持たせていたという。
ゴードンは王子宮の使用人の多くを買収し、男爵令嬢を自室に連れ込んでいることを国王に報告されないよう手を回していた。自分に従う使用人以外が部屋に入ることも禁じていたが、同じ王族である第三王子アーサーが偶然にも入室、写真と手紙を発見したことで脅迫行為が明らかになった。
事態を重く見たアーサー付きの女官リリアナはすぐに国王宛に使いを出し、許可を得た捜査員がゴードンの部屋に入り、別の脅迫文や浮気相手の男爵令嬢への熱烈な恋文を押収した。
また、数日前のアーサーの言葉から、作法の教師はゴードンの不貞と予算横領の可能性を推察していた。その旨は国王にも伝えられており、王子妃予算の執行状況や証憑書類についての調査が行われることになっていた。
国王は王子宮を訪れ、アーサーから話を聞いた。そして、ゴードンが男爵令嬢を招くタイミングを予測して近衛と共に待ち伏せ、不貞の現場を押さえた。
糾弾されたゴードンは、第一王子セラードを王に推す派閥がでっち上げた冤罪だと主張した。しかし、脅迫文と恋文が間違いなく彼の直筆であったこと、彼の学友や配下、使用人が取り調べで白状したこと、王子妃予算から注文されたオーダーメイドの服飾品を男爵令嬢が所持していたこと、そもそも不貞の現場を押さえられたこと、その他にも多くの物証が次々に出てきたことで、最後は観念して己の罪を自白した。
結果、王室の品位を貶めたとしてゴードンは廃籍。王位継承権と身分を剥奪の上、北の塔に生涯幽閉となった。彼に協力した者たちも相応の処分を受け、多額の罰金を科された上で前科をつけられ、都や王城から追われることになった。実家から勘当された者も多くいたという。
男爵令嬢の実家は爵位を剥奪され、財産の大半を没収された上で平民に落とされた。
また、調べを進める過程で、ゴードンの実母である現王妃もことあるごとにマリーベルを罵っていたことが明らかになった。元側室であった王妃は、ゴードンの妻に自分の親戚の娘を推していたからだ。彼女は王妃として不適格と判断され、離宮に軟禁された。
マリーベルとその実家である公爵家には王家からの詫びと十分な賠償金が支払われ、王と宰相の間でいくつかの交渉と取り引きが行われたという。それらは、以降における公爵家のさらなる繁栄の一因になったと言われている。全ての捜査が終わった後、例の写真はマリーベルに返却され、彼女自身の意向により焼却された。
この件において本人も自覚がないままに活躍したアーサーは、国王から褒められてとても嬉しそうにしていた。
……ただし、国王のアメやチョコレートをこっそり多く食べていたこともバレ、一か月間おやつ半分の刑にされてしまい、ちょっぴりうなだれていた。そんな彼に、マリーベルがお礼として手作りの菓子を届けてあげたという。
そして、心優しい立派な青年に成長したアーサーがマリーベルを妃にできたかどうかは……また別の話である。
ありがとうございました。
宰相としては、こんなことがあった王家に再びマリーベルを嫁がせようとは思わないでしょうが(あったとしても年齢的に第一王子の方かと)、6歳の初恋をばっさり切るのもあれなのでふわっとエンドにしました。




