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雨の中で死ねない理由

作者: 東屋


 雨の中でふと頭をよぎった事がある。


 深夜を回った川崎駅で、雨がアスファルトを強く叩きつける音とタクシーの走る喧騒のみがこだまする世界。


 俺は70分ニ万するお風呂屋で身体を洗った帰り道,

 

 友達に「右に行けば駅に着く」と言われ京浜線を右に添いながら雨の中JRの改札を求めて走った。あの時の俺はメロスばりに走った。


 結果はたどり着かなかった。「右に行け」と言われれば土地勘の無い人ならば言われた通り行くだろ?俺もそうだった


 結果はこの様。終電を逃し、馴染みのない街で雨の中1人で始発を待つ哀れな男の完成だ。暇すぎてこの文章を書く始末。お前らこんな大人になるなよ。


 そんな私が固い地面に座って悟りを開くのに時間は掛からなかった。

 

 無意識に歩き始め、雨に磨かれ近代的にも関わらず人1人いない無機質で、何処か懐かしさを感じる街に俺は少し感傷を感じた。


 辛い事があると人は割と簡単に「死にたい」と言葉に出す。 かく云う俺も前迄は死にたいだの、死ねばいいだのとやたら極端な言葉で感情を表現していた。       


  それが変わったのは二十歳の時だ。


 簡単な話しで大事な人が遠くに行ってしまった。

 

 それまで葬儀に出た事がなかった俺は酷く落ち込んだ。

弔辞を読み、最後の別れを済ませても何となくひょっこりとあいつが戻って来そうな気がしていた。


 そんな気持ちが壊れたきっかけがある。あいつが夢に出てきたのだ。


 別に何を伝える訳でもなく、ただいつも通っていたコンビニで飲み物を一緒に選ぶだけの夢。俺は新商品に目を移しながら悩んでいる時に、あいつは「う〜ん」と屈みながら悩む。

 

 そんな変哲もない光景。


 その夢で俺の意識は壊れた。


 あぁ あいつは死んだのだと。もう二度と会えないのだと。


 その日を思い出すのはいつも肌寒い日だ。今のように雨に濡れて震える日。 

 

 人肌寂しくてお風呂屋に行った筈なのに、今は無機質で冷たいベンチにもたれ掛かっている。


 別に過去が如何とか、大事な人の死を経験して何が如何とか言いたい訳じゃない。


 生きてれば辛い事の方が多いのは分かるはず。


 雨に打たれて感傷的になってこんな文章を書く人間もいる


 終電逃して雨の中ブチギレる人間もいる

 

 それでもまだ死なないのだ


 この冷たさを心地良いと、心地良いと思うまでは。































 ごめんシリアスチックに纏めようと思ったけど、今俺の前でこれ見よがしにキスしていったリア充は月まで吹っ飛べ。


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― 新着の感想 ―
[一言] ふと読み始めて差し込まれた一筋のエピソードにはっとさせられました。 雨が降る日に思い出されること、現実は上手くいかないことの方が多いこと、自分は究極についてないなと思う時には色々なものが頭の…
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