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体力テストと魔法

走り走って早十三キロメートル。残りはたった二キロメートルとなった。


「はあ、はあ、はあ」

アレンの呼吸が段々と浅く、速くなっていっている。しかし、僕の息は乱れていない。


──当然だ。僕は本来あるはずのものを彼に任せているのだから。


真剣勝負にも戦略は必要であるからズルではないだろう。


ロニエとキョウカの姿は見えなくなった。どこかで完全に差が出来たのだろう。


「イティラ……お前余裕すぎだろ」


「まあね。休み中に体力と体捌きを高めるために走っていた成果かな。頑張っていたのはアレンだけじゃないんだよ」


「はは、まあそうか」

そう言うとアレンは更に速度を上げた。僕もこの距離を変えたくないから彼の背中を追って駆けた。


残り五百メートル────四百メートル────三百メートル。徐々にゴールへ近付いている。


僕は三百メートルの地点で僕の全速力で駆け出した。


その急な変化には疲れたアレンは反応出来ず、僕は一番でゴールの白線を踏んだ。


「はあ、はあ……負けた」

アレンは白線を踏んで数歩歩くとその場に倒れ込んだ。


「速かったなあ、イティラ。しかも息切れなしか、どんな手品を使ったんだ?」

生徒の到着を待っている学院長が近付いてきてそう言った。


「ふふ、答えは空気抵抗ですよ」


「空気抵抗……か。それでアレンの後ろに張り付いていたのか」

そう、僕らが走るとその速度から強力な空気抵抗を受ける。それのせいで体力が削られてしまって減速はしたくない。


空気抵抗を減らすにはどうすればいいか、アレンが空気を掻き分けて進んだ背後に張り付けば受ける量が減るのではないかと思った。


「畜生、そう言う事だったか……」

結果は大成功、アレンの体力はガリガリと削られていき、僕は大丈夫であった。


「よく考えたな。おめでとう、三番だ」


「ん?三番……?」


「勝ちましたよ、イティラ君」

「……勝った」


「えっ!」

置いていったはずの二人がドヤ顔で建物の死角から出てきた。


「やっぱり気付いていませんでしたか。私達、途中の壁を走ってイティラ君達の上を通って追い抜いたんですよ」


(急にいなくなったとは思ったが、まさか上にいたとは……)

走ることに集中していて周辺の気配を探るのをやめていたが、その隙を突かれたとは思ってもいなかった。


「まあ、ここに到着したのはほんの一分前ですけどね」


「……大変だった」

僕とアレン以上の速さで走っていたのだから当然だ。


(アレン以上の空気抵抗を受けるわけだし……けど、キョウカは身体が細いから抵抗が少なくなるのか……?)

詳しくは分からないがもしかしたらがあるのかも知れない。


「んで、イティラは九分十五秒だ。まあ、三位でも物凄く速いから落ち込むなよ」

ロニエ達に負けて素直に喜べないけれど、後続で一番速かったのが十五分と少しと考えるといい方なんだと思う。


持久走の測定も終わり、全ての種目が終わった。


全体的な結果を振り返ると良い方だったと思うが、魔法技能はともかく剣術はもっと練習すべきだと思った。


結果が出るのは明日であるから今日は解散となった。今日は疲れたし、早めに寝ようと思いどこにも寄らずに帰ってきた。


部屋で寝る準備を整えて、寝台に入ろうとすると窓が外から軽く叩かれる音がした。僕は仕切りを開き、窓を開けるとロニエがいた。


「何しているの!?」

ここは地上からかなり高い位置にある、その壁に張り付いて窓から顔を出していた。外には人がいるし、まだまだ明るい。注目の的になってしまうことは間違いなしの状況であった。


「入っていいですか?」


「うん、いいから早く入っちゃって」

僕はロニエの手を引っ張って、部屋に入れた。


「何をしたかったの?」


「ああ、イティラ君と一緒に寝たくて」


「え!?何を言っているの」


「イティラ君の実家にいた時は一緒に寝た時もあったじゃないですか」

確かに寝たけれど、ここは僕とロニエしかいないわけだし、また理性が弾けたら自分を止められる自信はない……。


「いやでも……」


「ふふふ。その反応が見れて十分ですよ。許可をもらえたら寝るつもりでしたけど、それは第二の目的です」


「第一の目標は?」


「それはですねえ、キョウカちゃんの魔法の性能を試すためですよ」

自分の事のように胸を張って自慢するロニエ。


キョウカは魔法を三つも発現していた。三つの発現は驚くべき事だが魔力量等で驚かされた僕たちは半ば当たり前のように受け止めていた。


その内容が『隠密』『空気昇り』『麻痺』だ。


どれも攻撃魔法ではないが、キョウカの魔法力ならば十分戦闘に活用出来るだろう。


かくいう僕は『身体強化』を発現させていた。『魂の転移』を除くと初めて発現した魔法。とても嬉しいが、攻撃魔法でなかったことは残念だ。


「どれだけ目立つ行為をすると気付かれてしまうのかを探っていたんですけど、なかなかばれなくてですね」


「そういう事ね」


「初めてこの部屋に来ましたけど、綺麗にしてあるんですね」


「そうだね、あまり置くものもないし」

これと言った趣味もないから日用品以外は置いていない。


「ふーん。ベットの下にもなしですか……」


「何が!?」


「いえ、男の人と言ったら……」


「何もないよ!」


「そうですか。ではでは、ベットの中に」

そう言ってもぞもぞと整えたベットの中に入り込んだロニエ。


「何で!?」


「うへへ、イティラ君の匂い……」

ロニエはすぐにすう、すう、と寝息を立て始めた。


「寝るの速!というか自分の部屋に帰って!」


結局そのまま朝まで起きなかったロニエに僕は悶々としながら朝まで寝れずに過ごした。

15kmを9分は時速約九十八キロ。

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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