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握力と持久走

次の測定は握力と持久走だ。


握力は不思議な形をした器具を握って測る。強く握れば握るほど数値が高くなり、その数値で良し悪しを判断する。


僕らが測定場所に着くとアレンは測定を待っている所だった。


「お疲れさま」


「ああ、お疲れ」

アレンはぼんやりとしていて、いつもの彼らしくなかった。


「剣術で満点ってやっぱり凄いね、アレンは」


「まあ、俺の親父はそういうところも口うるさいからな。親父に教わっていたからああいうのも得意ってだけだ」

アレンの声はいつもよりも落ち込んでいる気がする。


「アレン、どうかしたの?」


「どうか、って何が?」


(自分の様子に気づいていないのだろうか)


「アレン、ぼんやりしているっていうか、落ち込んでいるっていうか……そんな気がするから」


「ああ、なるほどな。ちょっと自分の魔法の才能について考えていたんだ」

苦し紛れのように笑顔を見せたアレンは自重するように続けた。


「魔法の才能が乏しいから俺はまだまだ弱いのかな、とな。俺らしくもないが」


「アレンは強いよ。数値に騙されちゃダメだよ」


「イティラ……?」


僕は思っていることを全てアレンに紡ぐ。

「アレンは自分が強くなるためには何だって努力出来る。アレンが使っている『操氷』や『意識分割』だって君が全て努力して使いこなせるようになったんじゃないの?

強くなるために何度も何度も練習して、魔力切れを起こしてまで休日に練習して……。自分のためにどれだけ厳しくても努力が出来る、それが君の才能じゃないのかな」


「イティラ…………」


「僕は君を尊敬しているよ。君の強さに対する姿勢、君の限界以上を目指すのにどれだけキツくても最後までやり通すその強さ。君の力は数値では測りきれないんだよ」


「そう、か……。ありがとうな、イティラ」


俯いていた顔を上げてさっきみたいな落ち込みを交えた笑顔でなく、最高の笑顔で

「そうだな、努力で何でも出来る男、それがアレン・ジェネウスだ。こんなところで落ち込んで手を止めるなんて俺らしくない」


アレンはやる気を漲らせたまま測定場所に向かった。


アレンがそのまま器具を握って力を込めると


──バキリ、という音が響いて検査器具が握り壊された。


「ふっ、これで満点だ」

そう言うとこの場からの意識を全てその背に受けながら離れていった。


「いや、検査器具は壊しちゃダメでしょ……」

僕は彼の背を見て呟いた。


かく言う僕もこの後、握りしめたら検査器具を壊してしまったわけだが……。

─────────────────────────────────────


昼食を取り終えたら最後の種目、十五キロメートル走だ。


魔剣士学校にいた時は一番遅く、とてもきつくて物凄く嫌な種目であったけれど今は違う。


魔法による強化はなし。しかし、四の型による強化はあり、という決まりであるから僕は四の型と肉体と魂の結び付きの強化を使用する。その上、実家にいたときにロニエと散々山を駆け回ったから持久走は得意になっていた。


「イティラ、勝負しようぜ」


「いいよ。絶対に負けないよ」


「はっはっは、その余裕がいつまで続くかな」

まるで物語の悪役のような口ぶりでそう言ってくるアレン。


「私も混ぜてください」

「……私も」


「じゃあ、皆んなで競争しよう」


そんなこんな話しているうちに始めの合図がかかり、僕たちは開始と共に爆走した。

その名の通りの爆走。僕ら四人が通る道には風圧によって土煙が舞い、後方にいる僕ら以外の生徒の邪魔となってしまった。


「大丈夫かな」

僕はそんな様子をチラチラ振り返りながら安否を心配していると


「そんな事していて、俺に勝てるかな」

そう言って僕を追い抜いていくアレン。


僕も負けじと彼に追いつき、肩を並べた。


「アレンの本気はそんなもの?」


「煽ってくるなあ、追いつけなくても知らないぞ」

ただでさえ速かった彼の走りは更に速度を増して、僕を置いていく。


僕は肉体と魂の結び付きを更に強めて彼の背後にピッタリついた。


そのまま、背後を振り向いて確認するとロニエとキョウカも僕らに追いつくような速度で走ってきている。彼女達はは完全に置いていったと思っていたが、ロニエは細かく雷轟を行い、キョウカは普通に走っていた。


ロニエの雷轟は決まりで駄目だと言われていないからいいのだろうけれど、体力は持つのだろうか……?

雷轟はふくらはぎの筋肉を重点的に使う。一点に疲れが集中してしまっては走り切れないんじゃないかとは思うがそれは彼女の判断だ。


それにしても作戦が上手く行っている。このペースで走っても疲れをほとんど感じていない。反してアレンは少し息が乱れている。


残り五キロ、僕が絶対に勝つ。

イティラは何を企み、しているのか……。

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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